前頁からの続きです。
キルホーマンに触れましたが、その前に勉強したのは、「冬っぽい」シングルモルト3種。インプットの濃さを覚ましつつ、振り返ります。
キングスバリー ザ・セレクション
- 香り…ベリー系のフルーツ、バニラ、シェリー酒。
- 味…非常に軽い。が、それだけではない奥行きが。ラズベリー、キャンディ。
- 総評…さわやかで食前酒や1杯目に最適。良質なライトボディの赤ワインを想起。
キングスバリーというボトラーズのお酒、初めていただきました。ひとことで華やか。ウイスキーといえば荒っぽい佇まいですが、これは飲みやすいうえに、アルマニャックを思い出させる果実っぽさが素敵でした。
ベンリネス15y
- 香り…消毒液っぽく、煙い。ヘビー。時間を追って干しブドウ、プラムのようなドライフルーツ。
- 味…フルボディ寄りのミディアム。土っぽく、苦い。ところによって甘み。
- 総評…飲み手を選ぶ、ちょっとクセのあるシングルモルト。ストレートで特徴をつかむしかない。
UD社「花と動物シリーズ」の一つ。1杯目の素直さからかけ離れた、振り幅な2杯目。「とっつきの悪い美女」といったところでしょうか。中村さんのフレーバーの解説は「生薬っぽい」。こんなコメントが出せるのは、この方をおいて他にいないでしょう。
グレンモーレンジ ミルション(モエヘネシー ルイ・ヴィトン)
- 香り…シナモンを多めにかけたアップルパイ、洋梨。
- 味…複雑。いろんな果物とキャンディ。レモングラス、オレンジピール。ミディアム寄りのライトボディ。
- 総評…比較的長い時間、香りに化かされる。髪の毛のいい香りにつられて口説こうとしたら、わりと普通だった。そんな感じ。
グレンモーレンジお得意の企画もの。おなじみバーボン樽で寝かせた後、ワイン樽で追加熟成させたものだそうで、中村さん曰く「デザートモルト」です。非常に匂いの立った3杯目ですが、口に含めばすぐにモーレンジのそれと分かる個性。「樽のパイオニアたる自負心があるから実験的でもある。最初で最後のリリースになるかも」と中村さん。
以上、ご機嫌な3杯でした。こんなストーリーのある飲み方、できるのですね。もちろん知識あってのことですが。次も楽しみです。