アールデコの建築様式に心ひかれる岩手県公会堂。こちらで「漆DAYS いわて」というシンポジウムをやっていました。盛岡市は浄法寺塗と秀衡塗という漆器が作られていて、この二つは経済産業大臣指定伝統工芸品となっています。
岩手県は国産漆の8割を送り出す主要産地だそう。平安時代末期に栄華を極めた奥州藤原氏がルーツといわれる秀衡塗、豪華ですね。
対して浄法寺塗は無地の器が中心(写真撮り忘れ)。ハレの日の秀衡塗、普段使いの浄法寺塗といったところでしょうか。
展示を見て改めて感心したのが、「金継ぎ」といわれる技法です。割れたり欠けたりして破損した陶磁器を漆でつなぎ、金や銀の粉で修復するもの。この金継ぎで直したヒビ跡を「景色」と呼ぶのも日本人の感性ならでは、ですよね。使い込んで飽きると、わざと壊して修復し新たな景色を愉しんだ剛の者もいるとか。
そういえば光原社・可否館でカフェオレを頼んだ際にテーブルに置かれ頼んだ砂糖入れ、まさにこの金継ぎを使ってます。いい景色ですよねぇ。
中では漆商品の即売会も行われていました。まさに”ウルフェス”な大型フィギュアとか、TOKYO BIKEの漆塗エディション(27万円)とか。企画商品が面白かったです。
もちろん生活に根ざした商品も。なかでも洒落ていたのは、「NODATE MAG」と名付けられた漆製カップ。紐をリュックに結びつけ、屋外で飲み物を注いで使います。
製造はJAXAのエンジニア出身の関昌邦さん率いる関美工堂。道理でフツーのマグカップでないわけですね。風流な発想にビックリでした。
漆器といえば輪島塗のイメージでしたが、日本各地でこんなにバラエティに富んだものが出されているとは。岩手はじめ東北の漆器の値段的な努力も感じられました。職人が分業制の輪島塗と異なり、木を削って樹液を出すところからほぼ全行程を一人の職人が担うので当然といえば当然ですが。漆器、もっと身近に使えるようになったら素敵だなぁ。