BAR訪問記の連載を快調に進めています。ちょうど今くらいの時期、仕事のピーク時にはペースを緩めざるを得ませんが、インプット(訪問)とアウトプット(ライティング)は週にほぼ半々の割合を維持しています。
前にも書いたのですが、取材っぽさの排除が肝です。行って感じたこと、あったことを雰囲気が分かるように再現したい。極端な話、一人の客ではなく、「一取材者」としてバーテンダーの方に接せられた場合、その訪問は失敗といえます。ぼくを書き手だと意識して「あれをするな」「これを書くな」とコントロールしようとする。もしもこのような対応をされてしまったら、ぼくとしては忖度に満ちた記事をリリースすることになってしまう。
最終的にユーザのためになればいいのですが。単なるグルメ自慢や外食店の感想なら、食べログやぐるなびを見てもらえばいい。オフィシャルの情報なら、検索して店のサイトや雑誌などを読んでもらえばいい。それと同じことをこのコラムで書いても意味がないのです。HIDEOUT CLUB MAGAZINEのユーザに臨場感や、生々しさを感じさせるものでないと、説得力に欠ける。だからドキュメンタリータッチを意識して、極力恣意的な演出をしないように心がけています。
ぼくとしては「いつもの」風景が見たい。そこでバーテンダーの方がどのような仕草をしているのかを感じたい。よそ行きの取材なら、開店前にインタビュー時間を少しいただければ十分。ほんとうの意味でプロの方は、この辺全く問題がないのですが、余裕がない方は「取材を受けるモード」になってしまうでしょう。
連載が進んで認知度が増していくと、そういう人が現れるかもしれないと心配しています。が、そんなふうになってしまう人はまず少ないと踏んでいます。それは表向きのプロであって真のプロではない。いかに取材を意識させないか。些細なことですが、ぼくの中ではとても重要な課題なのです。