鈴本演芸場3月中席夜の部は「白酒25周年感謝祭」と題した、桃月庵白酒さんのネタ出し公演です。その初日を観てきました。初日のネタは「花見の仇討」です。ネタ帳はこちら。
金原亭乃ゝ香「平林」
柳亭市弥「真田小僧」
古今亭志ん陽「猫と金魚」
柳亭燕路「もぐら泥」
三遊亭白鳥「アジアそば」
隅田川馬石「金明竹」
春風亭百栄「誘拐家族」
桃月庵白酒「花見の仇討」
白酒さんは平成29年度芸術選奨文部科学大臣新人賞が決まったとのことで、まくらはその話題から。主管の文化庁から電話が入って、最初は国立演芸場の利用料の催促かと思ったとか(噺家本人が払い込みするらしく、たまに忘れてしまうそう)。職員が電話口で授賞理由を述べる際に、同賞文部科学大臣賞の入船亭扇遊さんと間違えたとか、ここぞとばかりに格好のネタにします。楽屋でも芸人仲間がおめでとうと言うけど、その次に口から出てくるのは「賞金いくら?」(ちなみに20万円だそう)。
おめでたい話題と25周年が重なり(弟弟子の馬石さんから「25周年は昨年では?」と突っ込まれたそうですが、4月入門なので今年なのだと、説明を加えていました)。こういう話題から上野公園の交番脇の桜が早咲きなのは、すぐ下にある地下鉄の通気口からの熱気で桜の木が「春だあぁ」と勘違いしちゃうという振りで、「花見の仇討」です。
花見で賑わう上野の山(本当は飛鳥山? 鈴本なら上野公園が舞台に決まってるよね)で、ニセの仇討の芝居を打って思いきり目立とうとして騒動を巻き起こす江戸っ子の話。仇の浪人、仇討をする巡礼兄弟、止めに入る六部に加え、六部のおじさんや本物の武士などを7~8人をめっちゃ楽しそうに演じ分けている白酒さん、聴いていて絶好調なのがわかる。途中、辛口の風刺をきかせるあたりも、この人ならではです。
それにしても。「新人賞」って何か違和感がありますが、春風亭一之輔さんも入門から14年経った2015年11月に浅草芸能大賞の新人賞を受けています。10年や20年なんてまだまだ。真打になってから、どれだけ精進しているかということなのでしょうか。
笑った笑った。今日は特に並びが良かった。白鳥さん、百栄さんという新作のふたりが重なったのも珍しいです。二ツ目の市弥さんもなかなかで、あたまからトリまで非常にゼータクな回でした。写真はロビーにあった等身大パネル。25周年のCD即売会もやってました。