『1984』を観た足で、帝国劇場『1789-バスティーユの恋人たち-』。2016年の初演時に小池徹平、加藤和樹の主役ダブルキャストで各1回観ていますが、今回の再演では加藤和樹ロナン、夢咲ねねオランプ、凰稀かなめマリー・アントワネットでの1回限りの鑑賞です。
18世紀末、革命前夜のフランス。父親を官憲に殺された農民ロナンと王妃マリー・アントワネットの侍女オランプ。互いに平民ながら立場の違いゆえにすれ違う恋を、革命派ロベスピエールたちとの熱い交流や貴族との対立の中に描きます。
叙情的でドラマティックなドーヴ・アチアの曲は。個人的に嫌いではないです。派手で華やかブロードウェイ、ダークで骨太なウィーンのどちらのミュージカルとも違う、洗練されたアレンジで聴かせてくれます。さすがはフランス生まれのロックミュージカルとあって、ラブを前面に押し出したストーリー。これを小池徹平さん&加藤和樹さんが演じるとなると、女性客がうっとりするのも分かります。
が、しかし。ラブラブありきのストーリーは男の僕には甘ったるすぎて、いくら曲が良くても見ているうちに食傷してしまうんですよね。ウィーン・ミュージカルの『エリザベート』もある意味ラブストーリーですが、ゴシック調の暗黒さがたまらなく美しく、ついついリピ見してしまうわけです。
そこへ行くと、この『1789』は1回観れば十分。この日はまた『1984』を観た後の暗い余韻が続いていたため、今ひとつ『1789』に集中できませんでしたが、加藤和樹さんはじめキャストの熱演は伝わってきました。休憩や終演後に客席の大半を占める女性が、感激・高揚している感じまで伝わってきましたもん、そらそうだと思います。個人的な収穫はアントワネット役の凰稀かなめさんを観られたこと。宙組男役時代と打って変わって、ちゃんと女子になっていて感心しました。
帝劇では2018年5月12日まで。その後2018年6月2日~6月25日に新歌舞伎座、2018年7月3日~7月30日に博多座で公演されます。