2年前までの自分なら、まず手に取らなかったこちら。マイク・マクマナス著「ソース」、神田昌典著「非常識な成功法則」に次ぐような、いい本でした。
「GRIT やり抜く力」(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳、ダイヤモンド社、税抜1,600円)
自分にできないことが、相手にできると「あの人は優秀だから」「才能があるから」「〇〇系だから」と、言ってしまいがちです。ぼくはそう。ですが、そうやって相手の能力のせいにするの、やめにします。
努力の積み重ねで結実したものを、才能と言って片付ける。そのほうがラクだから。相手の表層しか見ず、その影の努力などは見ようともしない。だから相手の困難や背景を「想像する」なんてもっとムリ。
偉業を成し遂げた人は、成功要件に熱心さや情熱などの感情的要素を一番に挙げない。それだけではなく、大事なのは「一つのことに長期にわたり取り組む姿勢」なのですね。一つのことの究極とは、すなわち「人生哲学」です。
これが根底に横たわっているか否かで、達成に向けた取り組み方が全く違ってくる。すべての努力や行動は目標に向けた手段に変わる。一見ばらばらに見えることでも、いずれ一本の大通りに出てくるのだ、と。
P.89の図が指し示す、上中下位の目標設定イメージは、神田さんの「非常識な成功法則」を思い起こすものがありました(未読の方、ぜひ。痛快です)。前述したことがピラミッド型の構造設計で示されていて、こういった流れで分解すると、枝葉末節から大きな幹が浮き彫りにされてくるのだと、よくわかります。
そのほか、気づきというか、むしろ大いにうなずけるフレーズや章がありました。以下、要点の一部メモ書きです。
- やり抜く力の鉄人たちは、容易にいい訳しない(コンパスを持つという表現が秀逸)。諦めるのは、それがさほど重要な目標でない証拠。
- 【やめる理由】:つまらない、そんなに頑張る価値はない、自分にとって重要ではない、どうせムリだからもうやめたほうがいい…など。→対義語的に【続ける要素】:興味、練習、目的、希望…。
- 興味を持ってから自分のモノにすることを追求するプロセス、好きが努力への原動力となる。
- 意図的な練習を積み重ねる。困難な挑戦であっても、いつしか苦にならなくなる。そうなれば本物に一歩近づく。
- 「やらなきゃ」ではなく、習慣化。
- いちいちクヨクヨしない。楽観主義で。
前半を読みながら、スパルタ式とごたまぜにならないかギモンに思いました。が、そんな安易な精神論であるはずがありません。答えは至ってシンプル。
「好きだから」
これでいいのです。頑張れて、粘れて、成熟できるのはそれが根拠となる。「好き」が見つかるまで相応の年数がかかる人もいるし、それが定まらないゆえに苦しいときもある。けれど、継続にはこれが主力エンジンとなるのは間違いない。
ぼくの場合、「好き」があり過ぎて困るくらいだけど、書くことや話すこと、硬軟織り交ぜていろいろ発信していこうと決めました。読了して、自分のこれからが楽しみになる。そんな本です。