おそらく半年ぶりの赤坂見附ですぺら。かなり勉強をサボってしまってました。23時すぎにおじゃまして、せっかちな2杯。夏向けのシングルモルトを試してみました。
まずは店主の中村元昭さんが「夏にイケる濃い味」を勧めてくれたこちらから。
カバラン ポーディアム
- 香り…強い主張ながら爽やか。レモンティー、白桃。水をまいた芝生の庭。
- 味…リッチでベリベリホット。きゅうりウォーター。終始甘いが、余韻は唐辛子。
- 総評…冬よりも初夏あたりに飲みたい清涼感あるシングルモルト。カバランのリッチさを想像して飲むと、いい意味で期待を裏切られる。バニラアイスクリームの伴にも。
アメリカンホワイトオーク新樽100%仕様のカバランです。もともと早くからカバランのポテンシャルを評価していた中村さんですが、最近の価格高騰には閉口気味。このカバランは2012年ごろの流通のものらしく、「バーボン特有の焦げ感がなく、切れあがりの良さは新樽由来。熟成の早さからすると、樽の内側のノウハウを持つクーパレッジの腕はあるだろう」と。今後の増産にも期待できそうです。
ブルイックラディ ベアバーレイ 2008
- 香り…控えめ。理科の実験室。わたあめ、リンゴ、洋ナシ。加水するとフローラルっぽさが見え、草木のニュアンスも。
- 味…穏やかで甘辛い。缶詰のフルーツ。クリーミーで一瞬ホワイトチョコレート。
- 総評…麦っぽさがさほどでもなく、むしろ霞んでいるような印象。あれこれ考えず、潔くキュッと飲みたい。
カバランの次に夏向きとして試したのがこちら。19世紀以前に使われていたベア(Bere、粗四条種)という古い品種の大麦を用いたブルイックラディです。
「淡いシュワ感」と表現した中村さん。これは古い品種を使っているにしては、クエスチョンマークが少なすぎとの評価でした。確かに飲んでいて違和感がないんですよね。正直「ベア」と言われなければ、スキャパあたりと間違えそうなくらい、わりと正統派なシングルモルトといった感想を持ちました。
あえて昔の品種をという試みができるのは、大手だからこそなのでしょうが。ベアという大麦自体は契約栽培でなんとかなるかもですが、仕込みも定番品とは別に行わないといけないし、酔狂な部類に入るんでしょうね。
昔の麦のほうが香り成分が多いことは、定量分析で実証されているそう。しかしアルコール造りには向かない。この品種改良の末に今のウイスキーがあるんでしょうけど。そう思うと、原料の原点回帰はロマンティックであり、ひととき古代にワープさせてくれもします。
中村さんは「アラン オークニーベア」と比べるのが面白そうだと勧めてくれました。むむ、それは次回に。