インド産のシングルモルトといえば、「アムルット」が出てきますが。もうひとつ、昨年2017年12月に国分グループ本社が「ポール・ジョン」というシングルモルト・ウイスキーを日本市場でリリースしました。その5アイテムに出くわしたので、予備知識なしにトライ。ハーフショットでテイスティングしてみました。
写真左から右に、ミディアムピートの『ボールド』、ライトピートの『エディテッド』、ノンピートの『ブリリアンス』。カスクストレングスでノンピートの『クラシック』、同じくミディアムピートの『ピーテッド』です。
ポール・ジョン ブリリアンス
- 香り…ほのかで優しい。マンゴー、青リンゴ、シロップ、カルピス。
- 味…ミディアムボディで非常にマイルド。トロピカルフルーツ、クリームが交互に。余韻は短い。
ポール・ジョン エディテッド
香り…穏やか&爽やか。かすかにスモーク。途中から実験中の理科室や化粧水のような匂いが立ち込める。
味…薄めた魚醤。中盤に麦様の甘さ。フィニッシュは和がらし。余韻は長い。
ポール・ジョン ボールド
- 香り…ピートとスモークチップ。燻製卵。やや麦と若干のオーク樽。後半にナッツも。
- 味…ミディアムボディで甘い。生姜。和がらし。余韻は短く、ややスパイシー。
以下2種類はアルコール度数55%台のカスクストレングス。
ポール・ジョン クラシック
- 香り…やや主張あり。エレガントで厚みがある。パフューミー。硝煙とシロップ。後半はガラッと変わり発酵臭が。
- 味…ミディアムボディ。ドライでスパイシー。レーズンバター、中盤に砂糖入りの麦茶。余韻は短い。
ポール・ジョン ピーテッド
- 香り…麦わら。若干のピート。オーク。材木置き場。木工ボンド。
- 味…アタックは瞬間強めだが、切れあがりは速く、甘い。コーヒーキャンディ。ドライイチジク。終盤はドライに。
@BAR官兵衛
製造元のジョン・ディスティラリーズ社は1992年に創業。2012年にリリースした『ポール・ジョン』は創業者の名に由来するとか。すでに欧米では売り出されていて、日本には満を持しての進出といったところでしょうか。
5アイテムとも、すべてバーボン樽を使用。ですが、産地ゆえの特性でしょうか、「サラッ」ではなく「ヌメッ」としたオイリーな印象。とはいえ、ブラインドテイスティングであれば、スペイサイド系の熟成の浅いシングルモルトか、アイリッシュと間違えそうです。
年8~10%という当地の高いエンジェルズシェアゆえ、加水が5~6年、カスクストレングスが6~7年と熟成年数は浅いです(スコッチは年率2%)。ゆえに芳醇さという点では物足りなさもあるかもしれませんが、5アイテムとも驚くほど温和な造り。香りも味もまずまずです。
実はこのポール・ジョン、スコッチやジャパニーズと異なり、原料に二条大麦ではなく六条大麦を使っているんです。ただしピートはスコットランドのアイラとアバディーンから取り寄せた2種類を単独または併用(比率は不明)しているとか。
ネイティブな個性を生かしつつ、古来のいいものと積極的に取り入れる。このニューワールドウイスキーならではのハイブリッド感、良いですね。ロットを重ねた今後のリリースに期待せずにいられません。