東京・文京区水道の凸版印刷(トッパン小石川ビル)にある印刷博物館に初めて行ってみました。企画展『天文学と印刷』(~2019年1月20日)という企画展を見るためです。正直どうかな?とそそられなかったのですが、内容は行ってみて正解でした。
展示は15世紀から17世紀にかけて、さまざまな学者が「出版物を通して」唱えた地球像の移り変わりをたどっていくもの。複写も含め、分厚く貴重な資料がガラスケースに陳列されています。
コペルニクスの太陽中心説(地動説)に始まり、芸術家と学者の両面で発表し続けたデューラー、惑星軌道の3法則を打ち立てたケプラー、そこから万有引力の法則を導き出したニュートン。そして西欧の思想を取り入れた日本の暦学まで。
これらの学説の広まりに印刷技術(図版)がいかに寄与したか。出版都市ニュルンブルクからローマ、ロンドン、フランクフルトなどドイツ、イタリア、イギリスなどへの爆発的普及とともに、解説してくれます。
展示品はどれも超大判、持てば3~5㎏あるのではと思しき(想像ね)分厚さと見事な装幀。人体や天体・天球図のビジュアルとそれを裏打ちするテキストは、相当な衝撃をもって迎えられたのではないでしょうか。これからの書物が市民にどれくらい身近だったのかは知る由もありませんが。
大手印刷会社の博物館だけに、見事な展示企画と展示室でした。説明をちゃんと読んでいくと、軽く2時間はかかります。図録は3,000円で今回購入は見送りましたが、期間中また訪ねて古の世界を味わいたいです。
ところで「メモ禁止」のはずだけど、熱心に鉛筆でメモ帳に書き留めているおばちゃんがいましたよ。それだけならまだしも、メモに熱心なあまり、展示品の前を長時間占拠するのはスマートじゃないね。けっこうな数の係員が監視してたけど、全然注意しないんだなぁ。摩訶不思議。