上野鈴本演芸場の2019年正月初席、1月3日の夜の部(第3部)に行ってきました。正月初席は1~6日まで指定席・入替制なんですよね。満席となった客席は、ゆるい雰囲気はあんまりなく、お目当ての噺家を見にきたお客さんの熱気でいっぱいというところでしょうか。
紋之助、たけ平、燕路「狸の恩返し」、おしどり、琴調「安兵衛大盃」、ホンキートンク、雲助「子ほめ」、一朝「初天神」、白酒、小菊、権太楼「代書屋」、仲入りを経て太神楽社中、小三治、小猫、喬太郎「同棲したい」、正楽、三三「五目講釈」
という、この時期ならではの豪華な並びです。
ホンキートンクさんは、変わらない切れ味とスピード感。いつもならただゲラゲラ笑って終わりでしょうが、利さん夫人のご病気の件を知ってしまっているので切ない。
雲助さんや一朝さんで前座噺を聴けるのもこの時期ならでは、一朝さんの「初天神」を見ながら、一之輔さんの「初天神」は一朝さんに似ているよなと改めて思いました。師弟だから当たり前なんですけど。
白酒さんの小咄がわからなくてググってみたら、英語で披露されている方の動画(神田外語グループ×ジョルダン)を発見しました。やー、面白いなぁ。
小三治さんは、二つ目時代の「さん治」から、1969年9月に真打になって「小三治」となったときの話をまくらで。
「なんで昇進すると小さくなるんでしょう」とおとぼけながら、師匠小さんに末廣亭2Fの楽屋で「おまえは小三治」といきなり言われたときの驚きを振り返りつつ、「(小三治の名は)素直なやつにやる」と。ここで談志さんのエピソードと絡めながら話したのは意外でした。こうして今も語り草になる立川談志という人は、ほんとうに影響力のあるひとだったんですね。
「五目講釈」は居候の若旦那が講釈師と言い出し、『赤穂義士伝』を詠み始めるものの、時代背景や人物があさっての方向に……という噺。三三さんという人は、講談的なというか講談から持ってきた話も抜群にうまい。ぼくは独演会に行っていないからかもしれませんが、三三さんで「あ、前にこの人でこの噺聞いたよな」ってのがないんですよね。その持ちネタの多さ、懐の大きさ。三三さんという人は勉強熱心で古典オタク気質なんだろうなと想像します。
それにしても。ヒザ前の喬太郎さん。正月に離婚が出てくる新作噺はキョーレツでした。