毎年1回、よみうり大手町ホールで開かれる桃月庵白酒さんの独演会。2019年の今回は春夏秋冬の四季に絡めた4席、すべてネタ出しでした。
春「百川」
秋「厩火事」
休憩
冬「四段目」
夏「お化け長屋」
「厩火事」と「お化け長屋」は師匠・五街道雲助さんからだそう。雲助さんは女性が出てくる噺の調子、仕草が自然なんですよね。艶っぽすぎず、かといってクールすぎず。髪結いの亭主の愛情を確かめようと奮闘する女房の姿は、言われてみれば雲助さんの様子に繋がるものが。
季節ネタに絞るのは意外に難しいようで。雲助さんが浅草のトリを務めた際「初天神」をかけようとして止めたというエピソードを。節分の恵方巻を皮肉り、落語協会のファン感謝デー「謝楽祭」や黒門亭(落語協会ビルで行われる落語会)の話からの「百川」。
商売に走る神社や、東京の有名な縁結びの神様とその参拝客の話からの「厩火事」。最近野党から与党に転じた議員を「あれこそ本当のプロ」とやり、与党気鋭の若手二世議員を「もっとカネに汚いところを見せてほしい」と煽りつつ「四段目」。白酒さん自身の住居歴や、事故物件に好んで住む芸人のエピソードからの「お化け長屋」。
そうなんです。白酒さんといえば、ぼくはまくらも大好きなんですよ。怖いものなしで、同業の噺家から(独特のヒューマンウォッチングによる)道行く人まで、あちこちに噛みついたり、小ばかにしたりしている。かと思えば「言いすぎました」とか「自分の身がかわいいので」と言ってブレーキをかける(ような演技をする)。
だから「皆さんは笑っていらっしゃいますが、いるんですよ、一人や二人は『不快です』とお怒りの方が」とフォロー(?)も。でも白酒さんの怒りやdisりは、的を射ているんですよね。
ぼく自身、権力大好きなわりに、「怒り」が行動のトリガーになる一面もあるので、そういうものを淀みなく話す白酒さんには勝手にシンパシーを感じてます。
来年2020年は2月15日(土)13時に開催決定とのこと(チケットは2018年11月発売予定)。寄席とはまた違う熱演が見られるホール落語会の白酒さん。この人の独演会に行くのが、自分の恒例行事となりそうです。