桃月庵白酒さんがトリ、上野鈴本演芸場令和三年七月下席夜の部五日目(2021年7月25日)に行ってきました。
全日ネタ出しで、この日の演目は「死神」。
この演目の定石を覆すキャラクター造形とストーリー展開に仰天します。
(途中から)敬称略
岸柳島 花緑
ギター漫談 ペペ桜井
子ほめ さん喬
引っ越しの夢 三三
仲入り
奇術 アサダ二世
馬のす 文菊
紙切り 正楽
死神 白酒
「死神」といえば、六代目三遊亭圓生によるホラータッチの高座を想起します。
白酒さんは、そのアンチテーゼのごとし。
死神は痩せこけているどころかぽっちゃりした陽キャに、死神が男に授ける呪文「アジャラカモクレン」は東京五輪ネタのブラック仕様に。
情けをかけた死神がくれた蝋燭から、消えかけの蝋燭の炎をつなごうとするも、結局男は蝋燭の熱に耐えきれず自ら投げ捨てるぶっ飛びの終幕。
独自のアレンジで(とはいっても不自然でなく)、とことん笑いに転化するのが白酒さんなんですよね。
今回は「トウゲツアン(が)ピック~安心・安全の演芸十種目~」と題された特別企画公演。
そのなかでも「死神」は、米津さんの曲の有無にかかわらず、見たい聴きたい落語ファンは多いはず。
客席の盛況(ほぼ満席だったんじゃないかな)を見ると、ネタ出しで正解ですね。
噺家は多少のやりづらさがあるだろうけど。
白酒さんの「死神」はCDでしか聴いたことがなく、生で見たのは初めて。
いやぁ行けて良かった。
今席の白酒さん、もう1回くらい見たい。