「文春落語オンライン 柳家喬太郎独演会〜ライト怪談」(2020年8月15日)を視聴しました。
こんにちは、hirokiです。
珍しく視聴したオンラインの落語会について今日は少し(ほんと、今年から始まった動画上の落語会はめったに見ないです)。
柳家喬太郎さんの今回の落語会は「ライト怪談」というテーマが事前に出されただけで、ネタ出しではありません。
2席「へっつい幽霊」と「梅津忠兵衛」の2席に加えてトークという構成。
「へっつい幽霊」は古典でおなじみ、往生できない元博徒の幽霊相手に、渡世人の熊さんが丁半博打で勝負する奇想天外で愉快な噺。
たしかに、ある意味これも怪談ですね。
「梅津忠兵衛」は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の同名小説を喬太郎さんが落語に転化した作品で、出羽国の豪傑・梅津忠兵衛が体験する不思議な話。
忠兵衛がいつものように夜勤帰りの道を歩いていると、鬱蒼とした中に、いるはずのない若い女が。
これは怪異かとやり過ごそうとするも、その女に気づかれた忠兵衛は「この子を少しの間、預かっていただけないでしょうか」と懐に抱いた赤ん坊を頼まれる。
すぐに戻るという女の言葉を聞き入れて赤ん坊を預かったものの、時間が経つにつれて赤ん坊は重く感じられるようになり、忠兵衛はついに手に掛けようとする。
さて、この後の展開は?
この手で抱いた赤子が徐々に重くのしかかってくる描写にゴクリで、侍の声がかすれてくるところまで真に迫ってきて、想像力をかき立てられます。
古典、新作(創作)と自在な喬太郎さんの真骨頂のひとつ、怪談で聴かせてくれました。
終演後のアフタートークは一転軽快で、視聴者から寄せられた質問の何問かに喬太郎さんが答えるというもの。
その中で、休業明けの鈴本演芸場で喬太郎さんが主任を務めた7月中席夜の部について言及する場面がありました。
例年この時期、喬太郎さんが鈴本演芸場で公演する特別企画興行ですが、今年はそういうスペシャル企画は「なし」に。
しかも全日、古典で通したそうです。
自身のウリでもある新作を一作も演じず、なぜ古典で通したのかについて、
“寄席の普通”にしたかった。いつもの寄席はほとんどにおいて古典落語が演じられる場であり、お客さんもそれを求めているんじゃないか。その普通を今回は大事にしたかった。
というような旨を話していて、いたく共感。
噺家も色物さんも客も、日常を少しずつ取り戻しつつあります。
何度も言いますけど、体験したいものは、できるときにしとこうね、躊躇せず。
ほんとそう思いますよ、ええ。