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大正期の商業デザイナー、杉浦非水の展覧会に行ってきた。

杉浦非水展の図録

週末の息抜きに東京国立近代美術館へ。通期開催の所蔵作品展が入場料たったの500円でじっくり鑑賞できて好きなんですよね。通常、企画展をやっている美術館はどこも混雑していてウンザリしてしまうのですが、ここ近美はスペースが広大で、窮屈さを感じたことがありません。

この日は1階で開催される有料の企画展が準備中。比較的空いていたのですが、無料の企画展「イメージコレクター・杉浦非水展」が拾い物でした。

杉浦非水(すぎうら・ひすい、1876~1965年)は、日本のグラフィックデザイン黎明期に活躍した図案家です。東京近美は遺族からの寄贈で、杉浦の作品700点を収蔵しているとかで、今回は19年ぶりの展覧会開催だそう。

おそらく初めて観る作品ばかりですが、どこか懐かしく、モダンなポスターばかり。もともと日本画家を目指していたものの、東京美術学校卒業後に黒田清輝が欧州遊学から持ち帰った資料に魅かれ、図案家に転向したといいます。

ゆえに何気なく描いたと思しき花の写生ひとつとっても、群を抜く精緻さ。代表作という三越呉服店やヤマサ醤油のポスター、書籍の表紙デザインやタイポグラフィなど、凝りに凝ったものばかり。

なかでも地下鉄の上野・浅草間開業を伝えるポスター(何通りもある)は、最高にかっこいい。ビビッドなデザインで告知し、さぞや観る人を高揚させたことでしょう。

今の時代に非水のポスターをたどれば「大正ロマン」のひとことで終わりそうですが、1912年当時、このポスターを観た人は、その洒脱さに近代化の波極まれり、の感を抱いたのではないでしょうか。商業デザインの始まりを告げる作品の数々、楽しみました。

展覧会のタイトルにもあるように、本人の手がけた作品のみならず、本人が集めたスナップ写真や映像、雑誌のスクラップなど、収集家としての側面も見ることができます。

図録を買うほど気に入りましたが(アイキャッチ写真は表紙)、展示替えがあるようですので、会期中にもう一度観に行くつもりです。

東京国立近代美術館

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hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性