東京都美術館で開催されている「The UKIYO-E 2020―日本三大浮世絵コレクション」を観てきました(〜2020年9月22日、開館9時30分〜17時30分※月曜休館)。
17世紀の初期浮世絵から幕末に至るまでの絵師約60人の浮世絵450点を展示し、表現の変遷を時系列で知ることができるオールタイムベスト盤的な構成。
日時指定入場制でお客さんもほどほど、ひじょうに観やすかったです。
こんにちは、hirokiです。
今日は展覧会の振り返りを少し。
「三大浮世絵コレクション」とは、太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前)、日本浮世絵博物館(長野県松本市)、平木浮世絵財団の収蔵品を指してのこと。
この3つの作品群が同時に観られるのは初めてのことだそうで、点数の多さと状態の良さに驚かされます。
太田記念美術館と日本浮世絵博物館には行ったことがあります。
日本浮世絵博物館の訪問記はこちら。
浮世絵黎明期の菱川師宣や鳥居派の作品から、18世紀中ごろの錦絵の誕生、歌麿や写楽による役者絵・美人画、ストーリー性のある北斎や広重、国芳の絵まで。
時代が新しくなるごとに表現が多様化し、色彩は鮮やかに、構図は大胆に、描写は精緻になっていくのがわかります。
北斎の大ファンとしては、北斎作品が『富嶽三十六景』の「浪裏」「凱風快晴」や、「諸国瀧廻り」など数点でさらっと流されていたのが、むしろ好感でした。
こういう総覧的な展覧会では超有名作品よりも、未知の作品に出会いたいですからね。
個人的に気に入ったのは、勝川春好の「江戸三幅対」という作品(太田記念美術館所蔵※前期展示のみ)。
花魁の花扇(はなおうぎ)と横綱谷風の飲み比べを、六代目團十郎が軍配を持って仕切るという図で、実に華やか。
でもこれって、実際にあった顔合わせじゃないよね。
勝川春好さんの妄想による夢の共演を描いた“二次創作”なわけで、ファンはテンション上がるし、大相撲・歌舞伎・花街の各界にとっては格好のプロモーション代わりだし、絵師も版元も儲かるし(?)、誰もがうれしい企画だったハズです。
8月25日に展示替えされた後期展示が始まっていますので、もう1回行ってみます。
そうそう、浮世絵の展覧会は作品が小判なだけでに、人の流れが滞りがちになるのがイラッとするのですが、この展覧会は入場予約制なので混雑はほどほど。
予約は煩わしく、以前のように気分でふらりと美術館に行けなくなったのは残念。
ですが、過剰な混雑から解放されたのは、流行り病がもたらした数少ない怪我の功名と言えますね。