第1期から大幅な展示替えを実施した『藝大コレクション展2019』に足を運びました。気に入っていた作品がいくつか下げられていましたが、新たに展示されていた作品もまたすごかった。
第2期にお目見えしたのは「起立工商会社工芸図案」と「東京美術学校日本画家の風景画」。そのほかのテーマの展示作品を含め、全体の3分の2は入れ替わっている印象です。
1873年のウイーン万博で、日本の工芸作品が評判になったことを受け、政府のバックアップで設立された日本初の貿易会社「起立工商会社」。この会社が抱えていた工芸家が東京美術学校の教官になったり、要職に就いたりと、藝大との縁が深かったそう。
だから藝大に収蔵されていて、その図案が今回展示されていたものの……。かなりの点数で「作者不詳」というクレジットが。どうやら記録が残っていないものも多数あるようなんです。それでも日本画の図案を見れば、並外れた才能が描いたものだと誰でも分かるはず。
「風景画」で特に見入ったのは、上野動物園を描いた三浦文治「動物園行楽」。学校が一部をなす上野公園は、自然豊かで行楽に事欠かない。身近にうってつけの写生の題材があるのですから、これを使わない手はない。さすがに藝大です。この辺りに住む者としてもニンマリでした。
それにしても藝大は学生もさることながら、所蔵作品というリアル資産がすごい。当たり前の話ですが、コレクションを見るたびに舌を巻いている気がします。