やや肌寒いくらいの休日らしい休日、時間ができたので地元を散策してみました。おあつらえ向きなことに、今日は「一箱古本市」の開催日。自宅の近所に移転してきた「古書ほうろう」さんを覗きつつ、久しぶりにイベントを楽しみました。
今年2019年で14年目、通算21回目を数える一箱古本市とは、参加者(店主さん)が段ボール一箱分の古本を持ち寄って販売するイベント。事前申し込み制で、開催の約2カ月前から参加を募っていますが、今やすぐに枠が埋まってしまう人気イベントになっているそう。
開催地は東京東側の谷中、根津、千駄木=谷根千といわれる界隈にある店(今回は9か所)の軒先。地域を縦横に走る不忍通りの周辺には、うまい具合に書店や古書店が点在。漱石、鴎外ゆかりの地でもあり、史跡も多く、おまけに根津神社の「つつじ祭り」とも時期が重なって、人出はなかなかのものです。
このイベントの記念すべき第1回に、店主として出店(往来堂書店前)させてもらったんですよね。今となってはいい思い出、ちょっとした自慢です。
今や地域のイベントとして定着したばかりか、全国各地で同様の一箱古本市が開かれているようです。本をフックとするリアルなイベントがこんなに需要があるとはビックリです。
ピン!とくる本には出合わず、今回は1冊も購入できませんでしたが。買う買わないにかかわらず、似たような本の好みの店主さんがいれば、思わぬ交流ができて面白いものです。
古本を漁ることは、自分の隠れた欲求にフォーカスする行為でもあります。本を愛する人どうしの交遊、書店さんとのかかわり。それを同時にできる機会は、だから貴重です。電子書籍でこうはいかない。
お隣の千代田区に、神保町というメジャーな古書店街がありますが、実はこの谷根千も隠れた本の街といえましょう。ましてや歩くだけで、訪ねるたびに発見があります。何かと下町と一括りにされ、ともすれば「昔ながらの風情が……」とステロタイプにいわれがちですが、この界隈の街は変化が甚だしく、新陳代謝が活発なんです。
ほんと、ちょっと足を運ばないともう変わっている。これを機会に変化をキャッチアップすべく、少し頻度を上げて自分の近所を歩いてみることにします。