約半年にわたる改装工事を終えた山の上ホテル(東京・神田駿河台)。2019年12月1日のリニュアルオープン初日に遊びに行ってきました。もっとも宿泊というわけにはいかず、館内1階の「バー ノンノン」に伺っただけですが。外観やバーの内部はかつての姿のままでうれしいですね。
それもそのはずで、ヴォーリズ建築のクラシックホテルが全面的な建て替えを行うわけありません。山の上ホテルの竣工は1937年(昭和12年)で、戦後GHQによる接収解除を経て、実業家の吉田俊男がホテルとして創業したのが1954年(昭和29年)。約70年ぶりに行われた大規模改装工事は、給排水衛生設備や厨房の改修など、老朽化に伴うリフレッシュだったそうです。
とはいえ改装は裏っ側だけではありません。1階の正面玄関から入ると、左側にあった広々としたロビーは什器等が一新され、ショップが併設されています。また正面玄関を入って右手のフロントはチェックアウト専用となったらしく、チェックインはその奥の旧ロビーに「宿泊予約者が椅子に掛けた状態」で、できるようになったそうです。
その先、建物の外側から坂道を下るようにあった階段は塞がれ、代わりに「てんぷらと和食 山の上」のエントランスに。喫茶室や鉄板焼に行くには、正面玄関の突き当たり階段を下ってのアプローチに変更されていました。また、位置的には「中国料理 新北京」と「フレンチレストラン ラヴィ」が入れ替わっているのではないかと(記憶違いならごめんなさい)。客室はどうなんでしょう? いずれまた宿泊してみて確かめようと思います。
そんなわけで雰囲気は残していたものの、一新されたロビーなどを見ると、かつての趣と機能性はトレードオフの関係なんだなと改めて認識。残念ですが、これも時代の流れなのでしょう。
幸いなことにバーノンノンは、雰囲気もすべてそのまま。シグネチャーカクテルのヒルトップとサイドカーをいただきました。初日だけに、わざわざ駆けつけたという常連の人もいらっしゃり、長く愛されているのが分かります。この風情、雰囲気、空間をずっと大事にしてほしいなぁ。