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湯島の国立近現代建築資料館で、安藤忠雄の初期設計図に見入る。

「安藤忠雄初期建築原図展」国立近現代建築資料館

日本を代表する建築家のひとり、安藤忠雄さん。表参道ヒルズや国際子ども図書館、茨木春日丘教会(光の教会)など数多のシンボリックな建築作品が思い浮かびます。そのキャリア初期、主に1990年ごろまでの手描き建築設計図面や模型などを展示する「安藤忠雄初期建築原図展――個の自立と対話」展に行ってきました(〜2019年9月23日、国立近現代建築資料館)。

世界各地に作品がある安藤建築ですが、初期の初期1970年代の建築ドローイング(設計図、施工図)はほとんどが住宅。年を追うごとに、集合住宅や教会、アトリエなどと仕事の幅が広がっていっています。1990年代以降の活躍しか知らないぼくにとっては、かなり新鮮な展示でした。そのひとつ「小篠邸」の資料は、兵庫県芦屋にあるコシノヒロコさんの旧宅のものかと思います。すごい邸宅というか、もうアートです。

安藤建築といえばコンクリートが打ちっぱなしのスクエアな建物という、超ざっくりとした印象があります。その建物は一目見たかぎり無機質で、ともすれば冷たい印象を受けがちです。一方で「光の教会」のように華美な装飾とは無縁、それどころかミニマルを最大限に追求し、自然採光の効果を最大限に生かす。

一戸建てにせよ集合住宅にせよ、今いる住環境に慣れてしまうと、外観も内観も「プラスしていく」ことを追い求めがち。個人的に住むところ選びは優先事項を上から実現させ、妥協できるところは目をつぶるという感じですが、安藤建築の図面や写真を見ていると、クライアントが家を建てる土地、場所、面積を前提に、最大限にその環境を生かす方向に寄せている気がしました。

土地の自然や地形に合わせて有機的にしたり、あえて上階に何も配置せず光(天日)差し込むスペースを作ったり。人間に合わせてでなく環境に合わせる、というか利用する。原始の住空間もこうだったのかもしれないと感じさせてくれます。想像が広がる展示でした。

なによりも安藤さんの設計図は細緻できれい。それでいて余分な書き込みがない感じで、素人目にもそれはそれは美しい。単に図面と呼ぶにはいささか無愛想だなと思ったくらいです。

ところで、会場の湯島地方合同庁舎内にある国立近現代建築資料館(東京・文京区)には初めて入ったのですが、ここは良い場所ですね。目録を数えてみると、展示されていた安藤さんの資料は200点弱。にもかかわらず入場料は無料(ただし旧岩崎邸庭園見学の人は入園料が必要)。さすがに文化庁が司っているだけのことはあります(ちなみに安藤さんは名誉館長)。土日祝および年末年始は休みでチャンスは平日のみ。ですが、展示は一見の価値ありです。

あ、会場の資料館事務室ではなんとパンフレットを無料配布してくれていますので、興味ある方はいかがでしょ。ぼくも1部、いただきました。

国立近現代建築資料館

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hiroki「酒と共感の日々」

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