先週末、東京国立博物館(トーハク)でワインを飲んだ後に本館をぐるっと回遊したのですが、夏休みシーズンとあって児童向けのユニークな企画展示を見つけました。その名も「日本のよろい!」(〜2019年9月23日、本館2階特別室)。渋い、シブすぎです。正直さしたる興味はなかったのですが、展示の仕方が上手く、大人のこちらも十二分に楽しめ、勉強になりました。
鎧(よろい)といえば、時代劇や時代小説でおなじみ。武士が敵の攻撃から身を守る防具であります。身分によって装着するものが違い、また戦い方が進化したことで、時代ごとに材質や種類に変化が生じてきたそう。そんなことはトーハクでこんな展示を見なければ意識すらしません。学校で日本史を勉強しても問題に出てきませんし。
例えば11世紀の平安時代後期、上級武士(騎馬武者)が着用した大鎧(おおよろい)は馬に乗って弓矢を射る戦いに合わせた作りですが、20〜30kgとひじょうに重い。その後、16世紀安土桃山時代の当世具足(とうせいぐそく)は全身を隙間なく守る防具に進化。背中には旗を立てる部品があるそうで、重さは10〜15kgと軽くなっています(それでも現在の防弾チョッキからすればたいへん重いですね)。
時代劇などの描写で、いくさの準備で鎧を着用する武士の場面が緊張感がありながらも華々しく描かれることが多いですよね。実際、日本の鎧は鉄や銅のほか、革、漆、絹糸などを素材に、多種多様な色で覆われていたそうで、なるほどこれは大将はさぞ派手に、大きく見えたことでしょう。ファッション性も兼ね備え、派手であり威圧感もある。特にえらいサムライほど、見映えは大事だったんですね。菊池寛の「形」という小説を思い出しました。
展示自体は小ぶりなものですが、むしろ親子で見るにはちょうどいいかと。下写真のように説明も気が利いてて、和んでしまいました。夏休みのこの時期ならではの良い企画展です。