甘いものは嫌いじゃないのですが、積極的に口にするほうでもありません。よほど「食べたいー!」って衝動に駆られたときに、ケーキやアイスを買いに走る程度。BARで一人飲みするときも、お通しをいただけるなら、甘いものより柿の種のほうがうれしいのです。
カクテルでもウイスキーでもお供はそう。ですが、先日いただいたチョコレートにはやられてしまいました。東京・淡路町のLEAP BARで、シングルモルトの「キングスバーンズ」をいただいたときのこと。カウンター奥でが調度が目についたのでガン見していると、それがチョコレートだと店主の達間さんが教えてくれました。
しゃれた木箱に入った小粒は、すべてが深みがかった艶やかな色合い。デコラティブな見た目もそそります。ひょいとつまみ食いするようなチョコじゃないってのが分かろうもの。冒頭アイキャッチと下写真がそれ、BAR専用チョコレートです。
作り手はアトリエAirgead(アールガッド)の須藤銀雅さん。最近テレビ、雑誌などのメディアに取り上げられることも多いショコラティエです。BAR専門のチョコレートとして商品開発した完全オリジナルで、一般販売はしていません。ウイスキー、ブランデー、カクテルなど、BARで出す飲み物のペアリングとして生きるチョコレートを作っているのだそう。
あぁ、これがウワサの……。甘いものに積極的でないとはいえ、目の前で見てしまったら興味津々。物欲しげな顔をしていたであろうぼくに、達間さんがケースを差し出し、お好きなものをと。1種類選んで、ひと口ふた口……。
しっかりチョコレートなのですが、驚いたことにフルーツやらスパイスやらが口中で渦巻くんです。飲みこむのが惜しくなるような、そんな味。しっかり噛みしめました。この感覚、何か覚えがあるなと思ったのですが、なんてことはない。舌と鼻で感じるウイスキーそのものじゃないですか。
あ、このチョコレートにお酒は入ってません、念のため。酒との相性に最大限スコープ設定すると、結果こうなるんだなぁと。チョコレートというと食指がイマイチ伸びませんでしたが、またしても自分の偏狭さを矯正されることになりました。なるほど取り扱うBARが増えるのも当然で、今後各所でいただける機会を楽しみにします。甘いものは苦手、という人にもお勧めです。