寄席に訪日外国人が押しかける日。

東京では酒場でも定食屋さんでも、美術館ほか文化施設にも、見かけない日はないほど海外からのツーリストが定着するようになりました。心の中で「エンジョイ」と呟きつつ、ただでさえ一極集中の東京では、心静かに何かを楽しめる場所が極端に少なくなっているなぁという印象です。

ダイレクトに人と接する、接客的な商売の人にとっては、日本が観光立国と化すのは大いに歓迎すべき事象でしょうか。でも、その場所によっては、イレギュラーのお客さんが増えることは必ずしもいい面ばかりではないのです。ほんの一例ですが、あるバーに伺った際「ご常連のお客さんを大事にする」とマスターが話したとき、ひじょうに得心が行きました。

そのバーが徹底しているのは、初めての客は紹介のみでしか受け入れない。ネットの影響で誰もが簡易に、等しく情報を入手できる時代だからこそ、従来からのお客さんを大事にしたいという姿勢です。

そのサービス(を提供する人や、提供される物も含め)の価値がわかる人に愛され、それで商売が成り立つのであれば十分。無理に「もっと上へ」という拡大路線を敷く必要などない。ある程度ブランディング(というと大層に聞こえますが)ができていれば、なおさらで。要するに一定のファンや愛好家に支持されていれば、オッケーなわけです。

なんでもかんでもインバウンドに乗れという潮流にある中で。それとは一線を画す場所があっていいし、またそうあってほしいと、つくづく思います。ある意味、これには日本語という閉鎖的な言葉の壁がいい方向に作用しているのがカギなのかなとも思いまして、たとえばその最たる場所が「寄席」なんですよね。この寄席が外国人観光客で埋め尽くされる恐怖感を抱きつつ、もしそうなる日がきたら、日本のインバウンドとやらは本物だとも思えるのです。

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hiroki

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編集者 / ライター / ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート / SMWS会員 / 訪問したBAR国内外合わせて200軒超 / 会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年) / ひとり歩き / 健全な酒活 / ブログは原則毎日更新1,000記事超(2020年1月現在)/ ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性