「日々是勉強」とは、主にBARで使うコトバであります。で、僕にとっての最たる勉強の場、赤坂見附ですぺらに久々に伺い、冬のシングルモルト3杯、いただいてきました。ほんとインプットが多いので、機械的に下記にメモります。
テイスティングメモは個人的主観。太字が店主Nさんによる解説の聞き書きです。
The TEN #08 ヘヴィ・シェリー タムドゥー 2007年 45.1%
- 香り…バランス良し。トマト、赤色の果実、練り消し、砂糖多めのミルクチョコレート。
- 味…オイリーながら軽めのボディ。少しヘーゼルナッツ。後口はミントを乗せたパンナコッタ。
パリを拠点とするラ・メゾン・ド・ウイスキーによる「ザ・テン」シリーズ。ヘヴィ・シェリーと銘打たれていますが、口あたりはひじょうに優しく、定番酒にしても良いなと思いました。「ラ・メゾン・ド・ウイスキーはきれいで、なかでも『ザ・テン』はお手頃価格。黒蜜系、ウォーミーで温かみあるということで冬の1杯目に」とNさん。このシリーズ、もう新たなリリースはないそうです。
BIG BABY ベンネヴィス 4年 51.1%
- 香り…むおっとするピート。シェリー酒、ベリー系のフルーツ。
- 味…どっしり。しょっぱさと甘みの綯い交ぜ。レーズン、カカオしっかりなチョコレート、後口はイカの酢漬け。
「煙感とシェリー。サルファを超えて、硫黄がむしろいい。さらに言えばガンパウダー系(=火薬が燃えた)。アイラでは出ないハイランド系の特徴。他にはたとえばバレッヒェンの10年。草木を燃やしたのがハイランドの煙」。なるほど言われてみれば、たとえばブルイックラディはアイラのブランドですが、モルトはまだハイランド産で、これに似た特徴が表れているはずなんですよね。
にしても、ガツンとくる2杯目。力強い一方で、一口に言い表せない複雑な味わいと香りを帯びています。これで4年、しかもベンネヴィスという銘柄。ブラインドで当てることができる人は凄いですね。でも、ベンネヴィスって、ニッカウヰスキー(というかアサヒグループ)の所有でありながら、目立たないですよね(このブログを読んでる人は「知ってるよ」って人が、多いかもしれませんが)。ニッカの所有であるがゆえに不遇(?)なのかもしれません。
「ベンネヴィスは今は“フルーティ売り”してるが、昔はボディがしっかりしてた。97年が当たり年? そればかりじゃないよ。ピーティーでシェリーがっつり、そのバランスがとれてる。そのうち (こうした)ピートが売られるのだろうけど、日本には来るかね?」
ポートシャーロット MRC:01 2010 59.2%
- 香り…押し付けがましさのないピート。パイン、熟しつつあるバナナ。
- 味…甘みと若干の酸味。ワインビネガー、マスカット。余韻は長い。
昨夏、一度だけ飲んだことがあり、それ以来の再びです。10年未満(?)なのでしょうか。ピート主体と思いきや、マスカットのようなブドウ果実も押し出してきます。煌々としたネオンサインのごとく主張が激しいんです。
「このシャーロットは受ける味ではあるが、かといって売る気もなさそう。ちゃんと美味になってて、冬の3杯目としてギリでイケるなと。輪郭もきれいでリッチ、それでいてピートもきいてる」
ポートシャーロットを所有するマーレイ・マクダヴィッド社ゆえワイン樽系ニュアンスの勝利といったところでしょうか。ワイン樽のウイスキー、個人的に好きなものがいくつかあるのですが、今ひとつメジャーにならないのは、作り手としての扱いの難しさゆえなのかも。度数の低さから傷みやすいゆえ、酸化しやすい。結果しくじると、生ぐさいウイスキーが出来上がってしまう恐れもありますよね。
というわけで、店主Nさんのリコメンド3杯でした。頭と舌に入ってくる情報が多すぎて、ただでさえ低スペックな我がCPUが、スパークしてしまいそうです。モル活(=モルト活動)、やはりサボっちゃダメだわ。そして、ここは魔窟です。一生かかっても全ボトル制覇なんて、できないだろうな。また近々。
@ですぺら