元ディアジオのスコット・ワトソンさんとブライアン・ウッズさんが2012年に設立した、クルーシャルドリンクス。日本ではあまりなじみのないスコットランドのボトラーですが、今後要チェック必至の試みを行っています(後述)。そのクルーシャルドリンクスが手がけた、アイラのヴァッテッド(ブレンデッド)モルトをためすことができました。
ジェネラルウイスキー トレーダーズ アイラ ブレンデッドモルト 62.5%
- 香り…ややクセある主張。ヨードチンキのような薬品、ヘザー、ドクダミの混じった土。
- 味…ミディアムボディ。終始ヨード感が支配。その中に生姜入りのココア、鮭のブラックペッパー漬け、キッパー、後半に笹餅。余韻は甘く、長い。後口はバナナやリンゴも。
- 総評…さほど太いボディではないものの、口にするたび5つの基本味が代わる代わる押し寄せて面白い。
@カドヤ黒門町スタンド
輸入元はウィスク・イー社。カスクストレングスです。聞けば、アイラ島にある二つの蒸溜所の原酒が混和されているそうで。キーワードは「フロアモルティングを残し、”アイラの女王”の異名をとる蒸溜所」と「アイラ島で最も生産量の多い蒸溜所」です。なるほどー。
この二つであれば個人的には後者は好きなのですが、こうして混ぜたものは、思いのほかエッジーです。よく「まとまりがある」という表現を見かけますが、これは真逆。さながら食品売り場で買い物カゴをひっくり返したような、そんなバラエティ性があります。こちらのボトルは国内の複数のネットショップで本日(2020年3月1日)現在、購入できますのでご興味あれば検索かけてみてください(本家の公式サイト&ネットショップ、およびウィスク・イーさんのラインナップでは見つけられませんでしたが)。
さて、クルーシャルドリンクスを起業したスコット・ワトソンさんとブライアン・ウッズさんの二人は、新たにザ・ロスト・ディスティラリー・カンパニーというブランドを興し、閉鎖蒸溜所のウイスキーの再現を試みています。いにしえの関係者はおろか、原酒も残っていない中で取り組むわけですから、リプロダクトでもレプリカでも、ましてや再興でもない。この試みは、ウイスキーマガジンの記事にあるように「再解釈」といった表現が適切ですね。
記事によれば、二人はもともとクラフトウイスキーのマーケティングを機に、今はなき蒸溜所の酒という着想を次々にカタチにしています。巨大資本がブランドを再興するのとはワケが違う。相当遠大でマニアックな試みゆえ、日本で売れるか(ウケるか)どうかは果たして……。とりあえず、いち小市民としては、キルマーノック南にあるザ・ロスト・ディスティラリー・カンパニー本社(広大な邸宅!)に行ってみたい衝動に駆られた次第です。