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「あげる」と「やる」、表現の違い。

人を助けようというとき、何かサービスしようというときに使う言葉。「〜してあげる」って、日常よく耳にします。「優しくしてあげる」とか「縛ってあげる」とか。

「あげる」は敬語では「差し上げる」として使いますよね。「〜してあげる」の場合は目上の人よりも、互いに失礼と感じない、気の置けない人や距離感が近い人に使うのが自然でしょう。ただ、最近はペットや植物、身内(家族)はおろか、自分にも使うケースを耳にします。たとえば「ワンちゃんにエサをあげる」「子どもに小遣いをあげる」「自分を褒めてあげる」などですね。

この場合、ほんとうは「やる」が正しいはず。身内や自分自身に敬語使うんかい、って話です。「あげる」の使い方の違和感には、「アタシの逆鱗に触れる」(これはシャレですが)のようなチグハグさを覚えます。

ただ、昨今の流れから「あげる」が持て囃されるのは理解できます。「〜してやれよ」っていうと、いかにも尊大な感じです。今的には「上から目線」とも換言できます。この「やる」を「あげる」と変換するだけで、あら不思議。そこには他者への配慮と、幾ばくかの品性をもたらしてくれます。

では無条件に「あげる」と使っていれば良いかというと、そこはアンパイでないのが要注意。これね、たとえば内側(内輪)の会話で「誰某さんに××をしてあげて」ってのが、対象の誰某さんに聞こえることほど野暮なものはない。あえて聞こえるように言って、「私は配慮できる人間です」「あなたにサービスしてます」ってことを暗に主張したいのかもしれないけど。

こうした言動、厚かましさと恩着せがましさしか感じません。悪いけど。言葉を駆使して相手に伝わるようにすることは大事です。けれど、フリだけ配慮の言葉づかいは、味付けを間違えた料理のように不味いものなります。きちんとした音葉を使うことができる人、折り目正しい人って、そうそういないですね、ぼくも含めて。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性