三遊亭白鳥、林家彦いち、桃月庵白酒の三人会、その名も「落語三銃師」第3回(2022年3月19日、三鷹市公会堂 光のホール)に行ってきました。
オープニングトーク
花見の仇討 白酒
仲入り
河童の手 白鳥
神々の唄 彦いち
上野公園入口の交番脇にある寒桜は、下を走る地下鉄の送風のせいで季節を間違えてしまうから早咲きなのだというマクラから「花見の仇討」をかけた白酒さん。
親の仇を狙う「設定」の巡礼兄弟のたどたどしいやりとりや、上野公園・摺鉢山での仇討ち(趣向)場面のコミカルさに磨きがかかっています。
トリを務めたのは彦いちさんで、オープニングトークでの口から出まかせな白鳥さんをネタにしつつ、ウソを発端に思わぬ惨事に発展した自身の失敗談を。
平気でウソをつく男の虚言のせいで、その奥さんが地元の八幡様でスーザン・ボイルになりすまして歌う羽目になるが、それが評判を呼んで、ついには全国の町おこしのスターになっていく噺。
思わぬハートウォーミングな噺に、してやられました。
この日、最もキョーレツだったのは白鳥さん。
冒頭のトークで「この噺を白酒に演らせたい」と言った白鳥流古典落語「河童の手」。
酒と女に目がない大店・井筒屋の若旦那は、奉公人はおろか店の番頭からも見放される始末。
番頭の挑発に乗り、予算三両で百両の価値のある品物を目利きすると大見得を切って飛び出したものの、途方に暮れる若旦那。
そこへ若旦那の母親が現れ、湯島の古道具屋に行って「その店でいちばん高いものを出すように言って買い求めろ」と言う。
目利きの才など持たない息子を案じて、母親が古道具屋に差配して、不足分を後日こっそり収めるという。
が、あろうことか若旦那は、金一両を遊郭に使ってしまった挙げ句、古道具屋を間違える始末。
そこで店主が秘蔵の品として奥から出してきたのは、古来から伝わる「河童の手」なる珍品で、河童の指の数=3回だけ願いごとを叶えるという。
誰も使ってこなかったのは、願をかけたが最後、呪われるかもしれないからだ、とも。
その珍品を一両で強引に買った若旦那は、帰路に入った蕎麦屋の座敷でとんでもない願いごとをしてしまう。
前半はどうやってオチをつけるのだろうとサスペンスフルな展開で、若旦那が古道具屋の店主と交渉する後半から一転して爆笑のやりとりに。
なるほど、これが古典といわれれば信じてしまいそうになるかも……ってくらい江戸っぽい噺でした。
古典の白酒、新作の白鳥&彦いちというユニークな取り合わせを考えた主催者、面白い目のつけどころです。
客席の入りは今ひとつだったのですが、演者3人とも熱演。
満員だろうが空席だろうが、演者の熱とは無関係なんだなと。
ひじょうにいい組み合わせなので、また行きますよ。