古典の名手(喬太郎さんは新作との二刀流ですが)ふたりのリレー落語、それも三遊亭圓朝の名作怪談ともなれば。
圓朝の菩提寺である谷中の全生庵や、本作の舞台・池之端にもほど近い下谷神社で開くのもオツな演出で。
一. 道灌 雛菊
一. 町内の若い衆 菊之丞
一. えーっとここは 喬太郎
仲入り
一. 宗悦殺し 喬太郎
一. 豊志賀の死 菊之丞
2025年8月3日14時開演 下谷神社会館
一席目、全生庵にお参りした足で会場に来たという古今亭菊之丞さん。一度それをせずに「豊志賀」をかけた高座で怪現象に遭遇した過去エピソードをオチまで付けて披露。
盛夏の陽気。怪談目当ての客を不健康とばかりに「なんで来たの?」と柳家喬太郎さん。SWAの公演を終えた直後であり、新作をかけたそうにいたずらっぽく笑う辺りはおなじみの対応。
続きものである本作、菊之丞さんの持ちネタは「豊志賀の死」のみとあって、喬太郎さんがトリとなる本来の出番をテレコに。登場人物を生き返らせるわけにいかないゆえ、物語の時系列に忠実に沿ってくれた形。主催者と演者のはからいに感謝です。
本作で菊之丞さんが「豊志賀の死」を持っているのはなんとなく理解できます。噺の途中に少しは笑える場面があるから。でも「宗悦殺し」は徹頭徹尾、陰惨ですから、演者はどうしても限られる。この物語は高座という舞台で一人芝居する喬太郎さんならではです。
スマホの呼び出し音の注意喚起の後に、スタッフの方いわく「チケットが5分で完売した」という会。伺えてラッキーでした。