ロックフェスや日本各地のお祭りは、流行り病のせいで今年はどこもかしこも中止になってしまいました。
ウイスキー系のイベントも例外ではありません。
参加可能なイベントにはせっせと足を運んでいたのですが、ぼくは基本そこで「飲んで終わり」なんですよ。
だもんですから、フェス限定ボトルのようなおみやげを買って帰ったためしがない(ポケットマネーがもちません)。
愛好家のあなたはどうですか?
ウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナル・根本毅さん主宰のウイスキー講座で、過去に販売されたそれらのウイスキーをいただくことができました。
今回(第24回)のテーマは「ウイスキー記念ボトル・BAR周年ボトルを楽しむ」です。
体験できたのは、冒頭アイキャッチ写真のスコッチモルトです。
今回も初めてのオンパレード。
下記にテイスティングの個人的主観をメモります。
1. スプリングバンク(Springbank)10y 46% around 2000’s OB 2001年 Whisky Magazine Live
- 香り…入口は柑橘系でその後ユリの花。粘土、チーズケーキ。
- 味…ミディアムボディ。麦芽、コーヒー。後半にしょっぱさが。
キャンベルタウン地区で、製麦からボトリングまですべてを自家施設で行っている独立系(J&Aミッチェル社所有)の蒸留所。
現在より3代前のオフィシャルボトルです。
愛好家向けウイスキーイベントの日本での草分け「ウイスキーマガジンライブ東京」(英パラグラフ・パブリッシング社とウィスク・イー社の共催)の記念ボトルで、ウイスキーライターの故マイケル・ジャクソンさんはじめ業界の著名人、重鎮の直筆サインが。
2. マノックモア(Mannochmare)12y 2007-2019 56.4% Bourbon Hogshead JWRC2019 Whisky Festival
- 香り…主張あり。バナナ、キウイ、シュークリーム。最後に海苔の佃煮。
- 味…チクッとするスパイスの入口後に甘み。レモンクリーム、餡パン、後口はドライ。
ディアジオ所有のスペイサイド地区の蒸留所で、姉妹蒸留所のグレンロッシーとは隣接。
こちらは昨年の「ウイスキーフェスティバル」(ウイスキー文化研究所主催)の記念ボトルです。
2007年開始当初の「ウイスキーフェスティバル東京」は銀座のビルの1室で開かれ、根本さんによると当時は「ハイランドパーク1958」などの貴重なボトルも出ていたとか(凄)。
現在は2日間開催で参加者も1万人に迫る規模ですから、いかに人気が過熱しているかがわかります。
3. グレンギリー(GlenGarioch)21y 1995-2016 61.7% Refill Hogshead Whisky Lovers in Nagoya2017
- 香り…弱めながら複雑多彩。レーズンバター、糖蜜、後々にハーブ。
- 味…甘辛の緩急うねる。最初はブドウ、その後に黒胡椒が舌にずっと残る。
東ハイランド地区にある蒸留所で、現在の所有はビームサントリー。
愛知県内のBAR、酒販店、愛好家を中心に開かれている「ウイスキー・ラバーズin名古屋」の記念ボトルです。
鋭敏な鼻も舌もない自分にはわかりませんでしたが、「ミルキーというかヨーグルトのようだ」と仰った参加者の方も。
経年変化がもたらした(?)と言えばそれまでですが、最初からなのか、保管を経た結果なのか……ぐるぐる考えてしまいます。
4. リトルミル(Littlemill)22y 1990-2013 51.8% Bourbon Hogshead Whisky Talk Fukuoka 2013
- 香り…南国系フルーツをはじめ、奇っ怪な複雑さ。木樽、アーモンドキャラメル、麦芽、ショートケーキ。
- 味…コク甘というか、かなり特徴的な甘さ。キャラメルマキアート、メロンパン、ココナッツウォーター。
ローランド地区ダンバートンに存在していた蒸留所(2004年に焼失)。
濡れた段ボールや独特のハーブ香などと喩えられたというクセのあるモルトだそうですが、こちらのボトルは根本さん曰く「美味しいリトルミル」とか。
「福岡Whisky Talk」を主催する九州のBAR団体クラブバッカス実行委員会の選定によるボトル。
個人的に今回のセミナーで最も印象に残ったモルトです。
5. イチローズモルト(Ichiro’s Malt)7y 2010-2018 59.6% Sherry Hogshead 2018 秩父ウイスキー祭
- 香り…甘さ主張はっきり。カステラ、ナッツ、サバラン。
- 味…リッチで激甘。クリームシェリー、バタークリーム、砂糖たっぷりのデニッシュ。
埼玉県秩父市の蒸留所で、言わずと知れたクラフトウイスキー蒸留所の先駆け。
創始者の肥土伊知郎さんは、後へと続くクラフト蒸留所に対しナレッジシェアに惜しみない人としても知られています。
旧蒸留所の5倍もの生産能力を備えた第2蒸留所稼働もさることながら、個人的にはオール地元素材の「100%秩父」に期待しています。
こちらのボトルは、今やチケット入手困難になった秩父ウイスキー祭の記念ボトル。
「PXとオロロソシェリー樽を混ぜた感じ?」という見立てもある7年物で、個人的にはかなりtoo muchな甘さでした。
6. バーンサイド(バルヴェニー;Balvenie)1989-2019 46.2% Bourbon Cask Bar ShuShu10周年
- 香り…草っぽい。レモングラス。
- 味…甘さ優勢。まさに焦がした麦、みかん、笹餅。後ろのほうにホットミルク。
スペイサイドのダフタウン地区にあるグレンフィディック蒸留所の姉妹蒸留所で、「グランツ」のキーモルトです。
こちらは東京・江戸川区の「Bar ShuShu」さんの10周年記念ボトル。
古谷三敏さん書き下ろしラベルも目を引く、いわゆるティースプーンモルト(グレンフィディック)です。
上記の「焦がした麦」は根本さんの表現で、まさにそうとしか感じられない香味。
従来のバルヴェニーのイメージを覆す青々としたモルトで、これをブラインドで出されたら、ぼくは「バルヴェニー」とは当てられないですね。
来年はぜひ各地のフェスもBAR界隈も、盛り返してほしいところ。
そう願いつつ、できるだけいろんな酒場やイベントに足を運ぶぞと決意新た、です(そのために仕事励めよ)。
ご一緒したみなさま、今回もありがとうございました。
@Bon Vivant