鈴本演芸場2019年6月下席夜の部は、古今亭菊之丞師匠のトリ。新しいこと=船頭の仕事にチャレンジするも、ボンボン気質でガッツのない若旦那と、そんな男が漕ぐ操舵のきかない舟に乗ってしまった客によるやり取りが可笑しい「船徳」でした。
菊之丞さんは放送中のNHK大河ドラマ『いだてん』で、落語指導をしていますから、その話を少しまくらで。ほんとうに面白いドラマだけど、今ひとつ視聴率が振るわないのが信じられません(ま、効果測定に「視聴率」を未だに使っていること自体がね。テレビ業界はモノサシを変えたほうが良いのでは?)。
もしかすると落語を挟むという宮藤官九郎脚本の妙に、落語を知らない人が付いてこられないのかなぁとも思ったりして。みんな、もっと落語を聴いたほうがいいですよ。
この日は、こみちさんの「しらみ茶屋」という噺を初めて聴きました。いたずら好きの若旦那が、座敷に集まった芸者衆や幇間に「骨相を見てやる」と後ろ向きに並ばせ、瓶に入れたしらみを襟足に放つという、とんでもない噺。
こみちさんが「仕草を見ていないと分からない」とまくらで触れたのですが、それから後に高座に上がった師匠方は、実際仕草で見せる噺が多かった気がします。気づいたら、○○しばりになっている、数珠つなぎになっている。当日そのときまで演者ですら分からない、読めないライブ感があるのが寄席の楽しみのひとつです。
古今亭始「のめる」、翁家社中「太神楽曲芸」、柳亭こみち「しらみ茶屋」、古今亭志ん輔「紙入れ」、ロケット団「漫才」、古今亭菊太楼「祇園会」、入船亭扇辰「麻のれん」
中入り
アサダ二世「奇術」、三遊亭圓歌「B型人間」、柳家小菊「粋曲」、古今亭菊之丞「船徳」