今年=令和4年も『盛夏吉例 圓朝祭』(2022年7月24日正午〜、中央会館 銀座ブロッサム)に行ってきました。
オール圓朝ゆかりの演目ネタ出しです。
大圓朝一代記 三遊亭志う歌
死神 春風亭一之輔
文七元結 三遊亭兼好
休憩
錦の舞衣(上) 柳家喬太郎
一之輔さんの死神は、一見すると「しゃがれた好々爺」。
ニヤニヤ笑いながら、ズルして大金をせしめた男の前に再臨し、「おめぇのこと好きだったんだけどなあぁ〜〜〜」と言ってラストに至るまでの地獄のやり取り。
一之輔さん、『死神』持ってたんだねぇ。
初めて聴いて、おかしみと怖さ二律背反の両立にやられました。
続く兼好さんの『文七元結』、この日いちばん素晴らしかったのは一之輔さんでも喬太郎さんでもなく、兼好さん。
正直こんなに削ぎ落としたテンポの良い文七とは!
驚きましたよ、良い意味で。
娘が身を沈めようとする吉原の遊郭「佐野槌(さのづち)」の名を「かなづち」と言ってみたり、堅物の番頭さんがなぜか吉原の地理に詳しかったり。
主人公=左官の長兵衛が、娘を担保に佐野槌の女将から借りた50両を、自殺しかけた若者=文七に強引に渡します。
これを経て、誰にカネを恵んだのかわからない、そんなわけないでしょう、という夫婦間の応酬が堂々巡りになるのが可笑しい。
人情噺としてジーンとさせつつ、笑いも抜かりなし。
この両立に唸りました。
トリの喬太郎さん『錦の舞衣(上)』。
恋愛パートからサスペンスに移り、これからどうなるという場面で終わり。
壮絶な復讐に至る下編、ぜひ聴きたいものです。