秋葉原にほど近い「落語・小料理 やきもち」さんに、柳亭こみちさんの独演会を観に行きました。
鉄火のお千代 こみち
縁切り榎 こみち
「鉄火のお千代」は初めて聴く噺だけど、言い立てがあってなんかこう、知ってる感じ。
と思ったら三遊亭白鳥作の、いわば女性版「大工調べ」。
新作の鬼才による換骨奪胎を、こみちさんが見事に自分のものに料理。
白鳥さんは昔気質の女性を主役にしたオリジナル(「鉄砲のお熊」とか)を書いていて、女性落語家と相性が合うんでしょうね。
「縁切り榎」は三遊亭圓朝の噺で、堅物で礼儀正しい娘と芸者の間で悩む若旦那が、どちらも振ることができず、反対に振られてしまうストーリー。
彼女二人の家を行ったり来たりするくだりは「権助提灯」と同工異曲で、縁切り榎に願をかけようとする若旦那がこの木(板橋区に実在)で出くわした彼女たちから逆に縁切りを言い渡されるオチはやっぱりね。
こみちさん、仕草と表情と声音で爺婆から若旦那、芸者、子どもまで演じ分ける巧みさ、細やかさ。
古典落語を女性版に置き換える取り組みは、埋もれた作品の発掘や、なじみある話に新風を吹き込むでしょうね。
会場の「やきもち」に初めて足を運んでみてびっくり。
想像以上に高座と近く、寄席の比でないほどで、こちらのほうが緊張してしまいました。
噺家の細かい仕草を感じられるし、この距離の近さは新鮮です。