「求められること、したいこと、できることが一致している人」が幸せで輝くことができる——。
こういう人を「ゴールデントライアングル」と称えたのが三浦しをんさんです。
エッセイ『桃色トワイライト』(新潮文庫)を読んでみてください。
これに当てはまる人としてパッと思い浮かぶのが、矢沢永吉さんです。
他に誰がいるでしょう。
2つは当てはまっても、3つとなると難しいんじゃない?
深田恭子さんが適応障害で芸能活動を休止するというニュースが流れてきました。
傍目には理想の30代リア充というか、満ち足りているようでしたから、分からんもんです。
いかに表層的なところしか見えてないか。
年齢とともにアイドル的な立ち位置から微妙に変えていき、今ではサーフィンでアクティブな意外性を見せたり、映画やドラマで悪女っぽい面を見せたりと、うまく変貌しているようでしたが。
実像=真の(現実の)自分と、虚像=周りから望まれている深田恭子
との間でギャップが、年齢を重ねるとともに埋め難くなっていったのかもしれない。
特に芸能界は顕著で、ギャップを上手に埋めている、あるいは自分のイメージをガラリと変えられた人は……結果うまくやってますよね。
深田さんはおそらくプロ意識が高かった。
だからこそ今までゴールデントライアングルであるかのように見えていたけれども、ここにきて長年の金属疲労が顕在化した。
でもね、また輝きを放って戻るんじゃないかな。
同じ芸能界でもタカラジェンヌ=宝塚歌劇の女優さんは、退団後に全く別の人生を歩んでいる人がほとんどです。
宝塚歌劇以外の演劇、映画、テレビなどで芸能活動を続ける人のほうが少数。
元トップスターというハクをもってしても、いつしかファードアウトという人もザラです。
芸能活動を続ける人ですら、退団直後は一時的にオフを設けるもので。
「出ずっぱり」で、マスコミやファンから常に「見られっぱなし」だと、そりゃ無理がたたるってもの。
深田さんのような長寿の売れっ子ほど、仕事を選ぶこと、オン・オフのメリハリが大事です。
もちろん、常に人に見られるからこそ、若さや美貌を維持できる側面はある。
けれどエンジンを切る時期があるからこそ、より長くポテンシャルを維持し、ピークを保つことができる。
5年のブランクを経て復帰した花總まりさんを見るとそう思います。
花總さんもおそらくゴールデントライアングルの一人では。
楽器のトライアングルは片隅の角が途切れているからこそ、きれいな音が出る。
欠けているくらいで良いんじゃね。
完全なゴールデントライアングルなんてね、とうそぶいてみる。