毎年7月恒例「圓朝祭」二日目(2021年7月18日、銀座ブロッサム・中央会館ホール)に行ってきました。
両泥 柳亭小痴楽
死神 三遊亭兼好
路地裏の伝説 柳家喬太郎
幸丸流野口英世伝 桂幸丸
仲入り
茗荷宿 桃月庵白酒
『真景累ヶ淵』より 宗悦殺し 五街道雲助
2日間ともネタ出し、休憩込みでトータル計3時間半。
ひとりの持ち時間は約25分はあったと思います。
それだけに皆さん、マクラが長め。
これはこれで愉しい。
喬太郎さんも怪談を披露すればいいのに? ですが、なにせ圓朝の冠が付いた会。
ここはやはり兼好さんの出番といったところ。
朗らかな兼好さんによる三遊亭圓朝作「死神」は意外なストーリー仕立て。
ワクチン接種にちなんだマクラに始まり、ヤブ医者の名前に風刺をきかせる今的な味付けの後で、蝋燭が消えるサゲへ……と思いきや、ここから残酷な二段落ち。
これはこれでめっちゃアリ。
喬太郎さんの「路地裏の伝説」は久しぶりに集まった旧友が、幼き日の都市伝説を振り返るライトホラー。
相変わらず悪口を言いまくる白酒さんにクスリニヤリの後で、白酒さんの師匠・雲助さんがマクラなしで「宗悦殺し」へ。
借金の取り立てに来た鍼医・皆川宗悦のネチネチした詰めに逆上し、手討ちにしてしまった小普請組(無役の旗本)の新左衛門。
亡骸を中に入れた葛籠(つづら)を背負わせ、適当なところで捨てて故郷に帰れと家来に命じる鬼畜っぷり。
「宗悦殺し」はこの後、新左衛門が宗悦の怨霊を殺そうとしたはずが妻を斬ってしまい、揚げ句自分も因業を思い知る話ですが。
雲助さんはそこまで行かず、長屋の博徒が葛籠の死体を見つけて腰を抜かすくだりで幕。
もうちょっと聴きたかったのですが、このイントロダクションだけでも固唾を飲んでしまう雲助さんの語り口、そして圓朝の作劇力の凄み!
これを体感できたので十分ですわ。
それにしても圓朝という人は、さながら「作家兼脚本家兼出演者」の才人ですね。
いや、落語は高座でたったひとり口演するわけだから、事実上、一人芝居の演出もこなしてるようなもん。
シンガーソングライターどころの話じゃない、元祖マルチの人だとつくづく思います。
ほか、はつらつとした若旦那気風の小痴楽さんも、訥々と下ネタを繰り出す幸丸さんなど、多士済々の番組でした。
主催者ほんとチカラ入ってますね。
また来年も。