庶民の暮らしや江戸時代の文化・風俗を題材にした浮世絵。
その風景、背景に描かれている天候を主題に、太田記念美術館(東京・神宮前)で開催されている展覧会「江戸の天気」を観てきました(〜2021年8月29日)。
雨や雪、稲妻、雨晴を予感させる空模様、虹など、描写はさまざま。
天候で浮世絵といえば『東海道五拾三次』の広重であり、『冨嶽三十六景』の北斎ですが、超のつく有名絵師以外の作品の秀作を見つけられるのが専門美術館。
多色刷りだけでなく、雨足や風の強さを線画だけで表現する巧緻な手法にもやられました。
なかでも個人的には小林清親の『柳原夜雨』(1881年)が良かった。
万世橋から浅草橋にかけての往来の夜景を切り取った作品。
雨に濡れた路面と、雨露の夜景を巧みに再現し、雰囲気とリアルを両立させています。
下記に作品の画像がありますが、やはり直に見てほしいです。
自分が今まさに住んでいる街や近所を舞台にした作品ばかりで、やたら反応してしまいました。
特に今回の展覧会は広重の『江戸名所百景』からの選択が多く、隅田川をはじめ、今の浅草近辺、神田や日本橋、虎ノ門などを舞台にした絵が楽しめます。
個人的に北斎贔屓ですが、広重の作品を初めて親近感をもって見られました。