東京・京橋のギャラリー、メゾンドネコで開かれている「切り剣Masayo個展」を観てきました(〜2020年2月25日、12時30分〜17時/入場無料)。観るこちらの息が詰まりそうなほどの細緻を極めた作品の数々にやられました。今後も追い続けたいアーティストのおひとり、見つけました。
切り剣Masayoこと、福田理代(ふくだ・まさよ)さんは切り絵創作家=ペーパーカットアーティスト。すでにInstagramで77,000フォロワー、Twitterで26,000フォロワーを獲得しています(2020年2月現在)。初めて作品を目の当たりにし、その細緻さと、まるで息をしているかのように迫ってくる生きもの描写に息をのみました。
高校時代に切り絵と出会い、家族や友人へのメッセージとして自作。一方で鉛筆画にも魅かれ、オードリー・ヘプバーンを好んで描いたことで画力が向上したんだとか。大学卒業後は時計修理職人として仕事をしつつ切り絵を制作していたそうで、なるほど、この尋常ならざる微細な小宇宙を描けるのには、そんなバックボーンがあったというのも納得です。
作品の一部は下写真(撮影OKとのことで、少しだけ撮らせていただきました)。気の遠くなるような線画、写真では伝わらないと思うので、この作品世界はぜひとも直に観ていただきたい。
画廊にはアーティスト福田さんご本人もいらっしゃり、レーザーカットで再現した作品レプリカを手に持たせてくださいました。ふわっとしていて、もちろん軽いのですが、なんだか本物の生きものを持っているかのような錯覚にとらわれました。それくらいリアルなんです。
さらに創作風景も見ることができました。紙と鉛筆、カッターのみで、あとは目と手の持てる限りを駆使して創られる世界。鉛筆は0.5mm芯のシャーペンを愛用、カッターはデザインカッター。手元をライトで照らして、自身が鉛筆で描いた線を切っていきます。弘法筆を選ばずといいますが、福田さんもさほど絵具にはこだわりはない様子。
ひととき、画力と再現力に圧倒されました。個人的には切り絵と聞いて、寄席の紙切り芸を想起したのですが。同じ紙を素材にしながらも、瞬間の発想力とスピードの紙切り芸とはやっぱり異なります。福田さんの場合は細緻な画力と集中力&それを持続させる力が並外れています。
個展では画集のほか、作品を購入することもできます。数万円単位の小作品から100万円を超える大作までさまざま(下記サイトのオンラインショップでも購入可のようです)。先々入手したいという目標ができましたが、さらに大きな規模の展覧会を希望します。