たばこと塩の博物館(東京・墨田区)で開催中の展覧会「杉浦非水 時代をひらくデザイン」(〜2021年11月14日)を観てきました。
モダンデザインとかアールヌーヴォーとかに反応する人は、きっと魅了されるはず。
杉浦非水は大正から昭和にかけて活躍したグラフィックデザイナーの草分け的存在。
最も有名なプロダクトは、三越の仕事でしょうか。
各店舗の開店記念告知やイメージ広告など、今でいうブランディング向上に多大な貢献をしたはずです。
ポスターやPR誌の表紙ビジュアルなどを27年にわたり担ってきましたが、三越の正社員ではなく嘱託社員としての立場を貫いてきたそう。
自身の創作の足かせとなるようなことをせず、フリーだからこその緊張感や技術向上、なによりも多ジャンルを手掛けたかったのでしょうね。
非水の作品を主に所有しているのは、前述の東京国立近代美術館と、愛媛県美術館(松山市は非水の故郷)。
本展は愛媛県美術館所蔵の作品を中心に、展示点数はトータルで約300点。
全盛期の商業用ポスターだけでなく、東京美術学校(東京藝大)時代の作品や本の装丁、スケッチや肉筆画も。
昭和初期のタバコ『響』『光』『Momoyama』『NIKKO』のパッケージデザインもしっかり飾られ、さすが場所柄です。
それにしても、非水もさることながら、非水を指導して図案家への道にいざなった洋画家・黒田清輝の慧眼もまたすごい。
もちろん非水は才能十分ですが、もし図案家でなく画家として仕事をしていたら、果たしてここまで有名になったか。
「天才は天才を知る」の一例だし、人生で出会う「人」は大事だし、財産ですね。
前期(〜10月10日)と後期(10月12日〜11月14日)で展示替えがあります。
入場料は一般100円、小・中・高校生50円、65歳以上50円(要証明書)。
JAFカードの提示で無料です、なんと太っ腹。