神戸市灘区にある横尾忠則現代美術館を初訪問。
「横尾忠則の恐怖の館」という企画展(〜2022年2月27日)がツボで、大いに妖しい世界を堪能できました。
会場は2F展示室Aの、暗幕をくぐるところからスタートします。
「あの世とこの世」「葬列」「乱歩迷宮」など、死のテーマ性がある作品群です。
鑑賞順路は一方通行。
作品を再度鑑賞したければ、来た通路を戻らずに、会場入口から入り直すという寸法。
通路にはところどころ蝋燭的な灯りが灯され、時折「キャーッ!」という女の叫び声が。
そう、要するにお化け屋敷を模したギミックなのです。
おそるおそる歩を進めながら、横尾作品を味わうという趣向。
展示は乱歩全集の挿画をはじめ、トータルで84作品が展示されています。
のっけから「D坂の殺人事件 江戸川乱歩全集(講談社)挿画」(1968、横尾忠則現代美術館蔵)。
お子さま連れの方は要注意ですね、けっこうビビるかも。
平日で比較的空いていたので、一部写真撮影させてもらいました(撮影可)。
「落下するビートルズ」(1991、作家蔵)、「Ectoplasm」(1985、横尾忠則現代美術館蔵)など、夢に出てきそうな禍々しい大作がズラリ。
個人的には解散した日本のパンクバンド、ガスタンクのアルバム『UNDER THE SUN』ジャケットデザインの元となった絵画「黄色い死者」(1986、横尾忠則現代美術館蔵)を生で観られて大感激でした。
2Fの死に対し、3F展示室Bのテーマは「闇について」。
後年の横尾さんのライフワークであるY字路シリーズの闇版ともいえる、「黒いY字路 1」(2010、作家蔵)や、本展のポスターや看板にもなっている「Pantanalの精霊」(1995、作家蔵)など。
個人的には闇夜を照らした「ベルベット・ナイト」(2000、横尾忠則現代美術館蔵)がすごく気に入りました。
繰り返し絵と向き合う幸せよ。
ちなみに、最も驚かされたのは作品ではなく、美術館の演出。
1Fに降りようと帰りのエレベーターに乗り込んでみると、なんと血だらけ……ではなく、ポロックのドリッピングよろしく、赤でペイントされた「かご」にドッキリ。
最初から最後まで作家性満載の美術館でした。