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雲助さんの『初霜』、未だ静かな余韻。

五街道雲助さん「初霜」2022年1月18日

中央区立日本橋公会堂(日本橋劇場)で行われた「第十回特選落語集」(2022年1月18日)。
中入り後を見てきました。

橋場の雪 小満ん
初霜 雲助

トリの五街道雲助さんは、宇野信夫(1904〜1991年)作『初霜』を。
宇野さんは劇作家であり随筆家でもあり、多面的な創作活動をされていた方で、新作世話物の『巷談宵宮雨』や近松門左衛門の『曽根崎心中』の脚色など、特に歌舞伎で力を発揮されたそうです。

この『初霜』は年老いた二人の植木職人、平さんと留さんの友情を描いた作品。
留さんは娘の仕送りでそこそこの暮らしができている一方で、平さんは足をケガしているうえに息子に先立たれて寂しい暮らし。
ある日、平さんは息子が死に際に遺した一両をなくしてしまう。
が、この一両がどういうわけか二両になって見つかった。
きっと泥棒が悪く思って増やして返してくれたに違いないと喜ぶ平さんだが、なぜ二両になって戻ってきたのか、ハタと気づいて……というあらすじ。

前半、高い松の木に梯子で昇って、鋏をパチンパチンと入れる留さんの演技にまず引き込まれます。
雲助さん、扇子の閉じ開きで鋏を表現し、しかも鼻歌交じりで実にいい調子(失礼ながら噺家って歌が上手い!)。
クライマックスで留さんの優しさを知って、ケガした足を引きずりながら留さんに駆け寄る平さんの演技もまた。

初めて聴いたのですが、『笠碁』よりも静かで一見淡々としているんだけど、最後が潔くドラマティックな分、未だに余韻が残っています。
友のサプライズ、粋なはからいを知ったとき、咄嗟に出てくる言葉ってなんだろう。
ほんとの友って、馴れ合わないどころか、端からはぶっきらぼうに見えることって普通にあるよね。

仕事帰りで仲入り後の鑑賞ながら、行ってよかった。
平日に落語会をきちんと見るなら、開演時刻の都合上早退せねばならず普段足を運ぶのはむつかしい。
ま、たまには良いよね……ってか、文章に携わる端くれとしても、行かずにいられないのです、落語って。

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hiroki「酒と共感の日々」

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