なんというか、シャイなアードベッグとでも言いましょうか。
2022年のコミッティー向けで、毎年5月リリースのアードベッグ・デーのボトルとは異なる限定版だそうです。
アードベッグ ファーミュテーション 13年(Ardbeg Fermutation 13y) 49.4%
- 香り…入口は一瞬の金属の後に土っぽさが。蜂蜜、キャラメル、タバコの灰、若干のスターアニス、奥にピート。
- 味…甘塩っぱく、軽いボディ。スペアミント、カフェラテ、砂糖入り麦茶、マリービスケット。余韻は長い。
- 総評…アーシーであり、カフェを飲んでいるかのよう。異様に飲みやすいが、ピートの効いたやつを好む向きには微妙。
85点
@LEAP BAR
「ウオッシュバック(発酵層)の侵入」と記された黄色のラベルが目を引きます。
ウォッシュバックから樽が落ちてくるイラストが、任天堂のゲームウォッチ「ファイア」みたいで可笑しい。
ウイスキーの製造において蒸留のひとつ前段階に発酵(ファーメンテーション)という、醪(もろみ=発酵液)をつくる工程があります。
ラベルによると、2007年にアードベッグ蒸留所はボイラー故障に見舞われたらしく、そのせいで蒸留器が稼働できない事態に。
そのため醪を蒸留器に回すことができず、通常72時間(約3日間)で発酵を終えるところ、3週間にわたり醪を放置する羽目に。
普通なら日の目を見ないであろうトラブルを逆手に取り、商品化しちゃうのはブランドを確立しているアードベッグならではで。
そういえば、スペックの異なる原酒をスタッフが誤って混ぜてしまい、それをリリースした「ワイルドターキー フォーギブン」なんて商品もありましたっけ。
転んでもタダでは起きない精神といい、しゃれっ気といい、こういうの嫌いじゃないです。
で、おそるおそる飲んでみましたが、スーッと喉に入り込んでくる。
13年のバーボン樽熟成が奏功しているせいか、やや甘さ優勢で、奥深くにピートが感じられます。
モルトウイスキーというよりも、浅煎りのコーヒーを飲んでいる感じ。
「アードベッグ ウィー・ビースティー」のように、なんでもできる若手社員のようなウルサい感じとは真逆の、控えめでシャイなキャラ。
どっしりとしたボディやスモーキーピーティを望む人には物足りないかもしれませんが、個人的には美味しいと思います。