東京藝術大学大学美術館で開催された『藝大コレクション展2022』に行ってきました(〜2022年5月8日)。
最も印象に残ったのは、展覧会の最後の展示作品である籔内佐斗司「鹿坊 面」。
アイキャッチ画像は展示室入口にある撮影可の作品「鹿坊」です。
鹿坊(ろくぼう)は、奈良県の平城遷都1300年祭マスコットキャラクターである、あの「せんとくん」の兄だそうで。
ただでさえ少ない脳みそのリソースを、この衝撃の事実が他の作品の印象を上書きしてしまいました。
この籔内さんの作品がなぜ「天平の誘惑」と題された展覧会で展示されたのか。
リーフレットによると、籔内さんは天平美術(主に仏様の絵や彫刻ね)の多くが破損している現状を痛ましく思いつつも、そのことで唐時代の造像技法を知ることができる、と。
「鹿坊」は修復技術の研究によって、生み出された作品でもあるのだそうです。
なるほど、そうやって改めて「鹿坊 面」を目の当たりにすると、作家のインスピレーションが鑑賞するこちら側からも腑に落ちるものがあります。
それにしても……「せんとくん」って、奇想だなぁ。