昼夜問わず楽しい最たる街のひとつ、神楽坂。昼間この界隈に来ると、そこが目的でもないのに寄り道してしまうところがあります。神楽坂駅の目の前にある、新潮社のイベントスペース「la kagu」です。
倉庫の面影を残した無機質な外観と、神楽坂にへばりつくように張り巡らされた階段が有機的なデザインは隈研吾建築事務所によるもの。
もともと新潮社の倉庫でしたが、3年前にサザビーリーグが開発・運営を手掛けるセレクトショップにリノベーションされました。1階にはレディースや雑貨、2階にはメンズ商品が陳列されています。1階にはカフェが、2階にはイベントスペースが併設されているのも特徴です。
1階のカフェはいつの間にか、順番待ち用のベンチが用意されていました。こないだまで横長のカウンター主体のテーブル席を好きに選べたのに。さりげない感じがなくなってしまったのは少し残念かな。
2階。その名も「SOKO」というイベントスペース、新刊の発売記念として、たびたび作家のトークショーが開催されます。何もないときはこんな感じに。
「Tシャツと本」というテーマの、壁際のディスプレイが楽しかったです。ここに来ると予定外の無駄遣いをしてしまいがちですが、この日は何も買わずになんとか脱出。いずれグローブ・トロッターのトランクがほしい。ここで見かけるたびに、意味もなく値札をチェックしてしまうんです。
la kaguから早稲田通りを下り、外堀通りを右に。15分ほど歩いてミヅマアートギャラリーへ。池田学さんの「誕生」という、縦3m×横4mもの大作を見に行きました。構想2年、制作に3年3か月かけたという渾身の描写です。特に何も知識なく絵画を観たのですが、鑑賞してすぐ、これは震災をモチーフにしたものと分かる作品でした。けれども、なのに全然悲観がない。むしろ希望を強く押し出した自然が前面に描かれています。
絵の近くに行っては離れて見て、また近くに。その繰り返しで約10分堪能しました。実は作品の写真撮影はOKだったのですが、あまりの素晴らしさに夢中になりすぎて、iPhoneでポチリとやるのを失念してしまいました。9月9日まで市ヶ谷のミヅマアートギャラリーで展示されています。9月27日~10月9日には東京・日本橋高島屋でついに巡回展がやってくるそうで。これはぜひ。
ミヅマアートギャラリーは山口晃さん、会田誠さん、鴻池朋子さんほか日本の現代美術作家を積極的に紹介しています。ここ市ヶ谷のスペースは面積が小さく、数点のみが展示される程度ですが、なにしろ0円=タダなのです。画集やポストカード等もその場で販売してます。
思わぬ出会い、ほんとうに軽んじられません。こういう一目惚れもあるので、ぼくは美術館の展覧会だけでなく、ギャラリーにも足を運ぶようにしています。