白川道さんのハードボイルド小説の一作に、無頼の男が飲んだその足でクルマに乗って帰る描写があるのですが、これはもはやファンタジーの世界だよね。
検問のない都内の裏道を突っ走るくだり、今の小説ではあり得ないでしょう。
これはフィクションだから成立するのであって、これを地で行くバカが未だ一定数存在することに驚きを禁じ得ません。
一滴でもアルコールを入れたらハンドルを握らないのは当たり前。
自分はアルコールが身体に入っていても安全運転できる、自分だけは事故を起こさないーーというマインドが理解不能です。
飲んで気が大きくなるのか。
自損事故で済まず、人を巻き込む恐れがあるのですから、賠償して済む問題でないのは小学生でもわかる理屈。
にもかかわらず飲酒運転が絶えないのは、問題の根が深い。
「飲酒運転が多い都道府県別ランキング」という記事によると、案の定、都市部では少ない傾向です。
クルマがなければ移動に差し支える場所柄では、宴会や付き合いで「軽く一杯」の誘惑に負けそうになる心理は、分からないでもない。
けれども、それに抗えないのは、もはや人として終わっています。
これ、下手に”成功”して警察に捕まらなかったら、自制心が効かなくなって繰り返すようになり、事故を起こして表沙汰っていうヤツが普通な気がします。
つまり、捕まった時点で”隠れ前科”がある説です。
「酒気帯び運転」「酒酔い運転」なんて生ぬるい言葉を使ってるから抑止力もはたらかない(飲酒運転するヤツは最低限の自制心さえ持ち合わせがないから、用語に意味はないんだけど)。
防止策としては重い制裁を課すしか方法はありません。
法律的に検挙された時点で一発免許取り消しにする、民間企業や公務員は社員や職員が事故を起こした時点で懲戒免職にする。
それくらいしないと、根絶はできないだろうね。