日ごろ世話になっているバーテンダーを応援するため、PBOによるカクテルコンペを観てきました。
初めて観戦させてもらったのですが、創作カクテルの審査よりも、接客能力を競う審査が個人的に最も面白かったんですよね。
この大会は、NPO法人プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)主催による『全国バーテンダーズ・コンペティション2022』(2022年7月31日、会場:東武ホテル レバント東京)で、前回大会から3年半ぶりの開催。
本来は年に一度の開催ですが、コロナ禍により中止になっていました。
今回のプログラムのひとつがPBO最高栄誉の大会で「MVBカップ」。
バーテンダーの知識からクリエイティブ、技術、接客まで総合力を問うものです。
過去にPBOのコンペで受賞歴がなければ応募できず、書類審査を経て今回は5人のファイナリストが選出されました。
事前の筆記試験(酒類全般の問題50問)を経て、事情により欠席者がいたため3人の出場者が創作カクテルをつくります。
それはそれは、どれも華やかで、飲んでみたい衝動に駆られました(実際に審査するのは7人のバーテンダーのため、観客はいただけませんw)。
しかし、最も面白かったのは接客を想定したファイナル審査。
なんと模擬のバーカウンターが壇上に準備され、客(会社の先輩・後輩という役)に扮したプロのバーテンダーの注文に応じて、カクテルをつくるというもの。
それぞれ出場者はひとりで壇上に上がります。
壇上を囲うように、ファイナル審査員である上田和男さん、毛利隆雄さん、佐藤謙一さん、宮内誠さん、草間常明さん、北村聡さんといった重鎮たちが一連の様子をチェックします(怖っ!)。
ここは2軒目で紹介されてきました。美味しいカクテルが飲めると聞きまして――とお客さん役の前フリ。
No.01の出場者には
「ジンベースのカクテルをお願いします」
「私はハンターを」
No.03の出場者には
「ウイスキーベースのカクテルをください」
「コリンズを飲んでみたいです」
No.05の出場者には
「サイドカーをお願いします」
「ロブロイを」
みたいに、出場者ごとに異なる注文。
No.01の出場者はジンベースの要望にギムレットを提案し、「いいですね、お願いします」の返事を経て、作って差し出します。
あとのやり取りは、一定の型があるらしく
- 注文したカクテルがどんなものか、由来(お酒の知識)
- バーテンダーとして心がけていること(接客マインド)
などの質問。さらに
- SDGsとは(一般常識)
を質問する場面が。
なるほどなー、そんなことまで問われるのか、と。
んーー、審査のねらい、趣旨はすごく分かります。
がしかし、個人的には、下世話ですが実際に出くわしそうな場面の応酬を見たかった。
たとえば
- 酔っぱらった客が大声を出し始めた
- 客同士が揉め事を起こしそう
- カップルが痴話ゲンカを始めた
- ガイジンの観光客が会計の額を見て難癖をつけてきた
- まったく知識のない若い子が迷い込んできた
とか、そういうやつねw
審査の内容や会話を見るかぎり、ある程度BAR慣れしている客、BAR好きな客を想定しているのだなぁ、と。
そりゃ当たり前なのだろうけど、そういう理想郷だけでなく、間口を広げるためのリアル感があると、より良いのでは。
審査後、「カクテルの提案にもっと幅があっても良かった」というフィードバックには納得だし、いっぽうでショートカクテルを出した際に「グラスの水を一緒に差し出した」出場者を褒めた講評も良かったです。
個人的にBARでも失敗ばかりですが、酔っぱらってもプロの皆さんはいつも優しいし、包容力に助けられています。
そんな素晴らしい面が生かされて、ノンアル含む新しい層へのアピール、門戸開放になれば最高ですね。
来年の開催も楽しみにしています。