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『フラニーとズーイ』、自分の進むべき道と深い他者理解を描いた青春小説。

サリンジャー『フラニーとズーイ』

『ライ麦畑でつかまえて』と双璧ともいわれる青春小説『フラニーとズーイ』(Franny and Zooey/J・D・サリンジャー著・村上春樹訳/新潮文庫)を読了。
すてきでした。10代か20代で読んだら全く違った感想をもったでしょうが、むしろ50代の自分だからこそ感じ入ったのかもしれません。

物語はフラニー編とズーイ編の2編からなり、1955年11月の土曜午前から、翌週月曜にかけての時系列。
過剰な自意識と敬虔な宗教感に苛まれる妹フラニー。彼氏のレーンのスノッブな立ち居振る舞いが我慢ならず、ついには気絶してしまう。
週末のデートを散々にしてしまい帰宅し、寝込んでしまったフラニーを心配した母親ベッシーは、兄のズーイに助けを乞う。
ズーイはありったけの知恵を使ってフラニーを慰めるーー。

なぜ手にしたのか? 読後感は?

『ヒート2』の後に読むものとして勧められたんですよね。
全く正反対な繊細なストーリーでした。
サリンジャーって自分の趣味ではないのですが、意外や意外スルスルと読めました。

ただし、訳者は重要ですね。結論、野崎孝版から読むべきだったなと。
途中からサリンジャーというよりは、村上春樹を読んでいるような錯覚に陥りました。
「やれやれ」とか、傍点とか多用されているし。
とはいえ、米国文学と村上春樹は相性が良いのだなということは判りました。

結論に至る「回りくどさ」に共感

今の時代、とにかく「結論から先に言え」と求められるし、実際それが正解です。
でもね、あらゆる根の深い問題解決の答えって、そう簡単に出るものではないのですよ。

妹フラニーの悩みに寄り添おうとするズーイもまた、心に問題を抱えている。
だから妹の言動は自分のことのように理解できるのだけど、アウトプットする言葉が澱みなく出過ぎてしまい、結局「何が言いたいの?」と妹をイラつかせてしまう。
兄は説得を諦めようとするが、熟考の末に一芝居を打ち、妹と電話で話すくだりが圧巻で、この最後の数ページで解決に至る鮮やかさが、ほんとうに心地よかった。
鮮やかといっても、きれいさっぱりではなく、希望が見える終章。
そう、雲の中から光が見えるジェイコブスラダーのような終わり方。

読んで得たこと

  1. 誰も見ていない? いいえ、神が見ている:信じた道を進め、自分に嘘をつくな。
  2. 他者への理解:自分は本当に、親しい相手を理解しているか。

この2点ですね。
自分について言えば、とにかく上辺だけの人間関係ばかりだなと。
そんなんだから、心から共鳴できる相手など周辺にいないし、できもしない。

でもね、自分はこういう人間だから仕方ないか、と居直りたくもなる。
今の自分の空疎さを覗かれたようで、複雑な気持ちです。

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hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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