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『横尾忠則 寒山拾得』展、奇想と圧倒的な筆致の102点に呑み込まれる。

「横尾忠則の寒山拾得」展

東京国立博物館・表慶館で開催されている『横尾忠則 寒山拾得』展(2023年9月12日~12月3日)、観に行ってきました。

なんというか、ずーっと横尾画伯の脳内から表出する奇想に胸やけしそうw
冒頭もしやずっとこういう感じかと思ってたら、案の定こういう感じがずっと続いてとうとう終わった……そんな感じでした。

展示内容

寒山と拾得は、中国・唐時代を生きたふたりの僧。
霊地である中国の天台山を根城にしていたという伝説があり、禅宗ではその脱俗的な容姿容貌、ふるまいが悟りの境地を表したものとされたそう。
画像検索すると、既視感のある画が出てくるのでは。
寒山拾得といえば、個人的には顔輝という人が描いた、不気味な笑みを湛えた画が真っ先に思い浮かびます。

本店は寒山拾得を独自解釈し、再構築した横尾画伯の画102点を展示。
東京国立博物館の依頼を受け、2021年から創作したという展示作品はすべて未発表の新作です。

見どころ

寒山拾得は経巻を持つ寒山と、箒を持つ拾得のビジュアルが知られていますが、横尾さんにかかると「どーしてそうなる?」の連発。
巻物がトイレットペーパーになり、箒を掃除機に姿を変えるなど、禅が自由というか奇天烈な世界となって提示されます。

画それぞれのタイトルは付与されず、作品の下に描かれた日付を記載しているのみ。解説も一切ありません。
その日付から日付に注目すると、1作品が非常に短期間で描かれていることがわかります。
画伯自身が「まるでアスリートのような勢いで挑戦をした」と話しているように、短距離走を延々と繰り返すかのごとくの熱量は、狂気じみたものを感じます。

作品の合間合間に、自著『原郷の森』からの引用が展示されています。
ウォーホル、森鷗外、三島由紀夫、谷崎などから「画家Y」への寸鉄(のようなもの)ですが、一瞬ほんとに著名人が話したのかと錯覚してしまいました。
しかしこれ、なんか大川隆法氏の守護霊インタビューを彷彿させるね。

「横尾忠則の寒山拾得」展の1コマ

まとめ

横尾作品は、ある企画展や常設展にひとつふたつで十分なんですよね、個人的には。
ダリの作品を観た後もそうなんだけど、、観たその日は必ず悪い夢を見るw
横尾作品が一堂に会する展覧会は、かなり消耗するんですよ。

とはいえ、なんだかんだで好きなアーティストであることに変わりなく、御年86歳にして、この創作は凄すぎます。
いつまでも描きまくっていただきたいものです。

余談ですが、会場出口のミュージアムショップで売っていたカウチンに目がハートになったものの、さすがに28万円では手が出ません。
あの髑髏柄のパッチワーク、たまらんなぁ。

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この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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