スポーツ界やエンタメ界のパワーハラスメント、残念ながら報道で目にしない日がないほどです。
パワハラは国民気質
パワハラの横行は別に今に始まったことではなく、源流には日本特有の軍隊気質が横たわっている気がしてなりません。
上が「黒を白」と言えば「そうです」と右へ倣えで落ち着き、罷り間違って「は? 黒ですよ」などと言えばぶん殴られ、下手すると放逐される。
上下関係は絶対、上が指示することであれば火の中水の中、どんなに理不尽でも耐えるのが美徳。
今で言う「体育会系」が先鋭化すると負の側面が出るのは、ここに起因するのでは。
軍隊の延長線上にあるわけです。
戦後、軍隊の気質は深く静かに、運動部系の部活をはじめとする体育会に引き継がれ、その成れの果てがパワハラと化した。
引き継がれたというより、元々の気質が顕在化しただけ。
体育会系は受け継がれるという思考停止
自分がされたことだから、目下の人間や後輩にもしていい。
ある意味、盲目的なところも特徴。
そこには「自分がされて嫌なことはしない」という、人としての根本が欠けている。
何かおかしいと逡巡しても、結局はそれが「部下や後輩のため」と都合よくすり替え、深く考えず同じことを繰り返す。
ハラスメント体質の人はしたがって、そのポテンシャルが端からあったわけではなくて、その人自身が過去に被害に遭った可能性が大いにある。
そこに抗えなかった弱い人間だからこそ、権限を持つとなると、今度は自分が同じことをしてしまう。ある種の哀れみがありますな。
ハラスメントをしている意識は当人にはもちろん、ない。
なぜ体育会系が企業社会に重宝されるのか
新卒一括採用に際して企業が歓迎するのが、この体育会系です。
なぜ企業が好むのかは単純で、
「安い賃金で頑張り、上下関係を重んじ、上から言われたことを黙って忠実にこなそうとする」
からです。身もふたもない話だけどね。
上下関係がこじれると、それが歪んだ形になって表れます。
パワハラはその一例で、指導と称するハラスメントに昇華してしまう。
この辺りは次回触れます。
打開策はなくはないが、根本治療には弱い
近年この理不尽に、ようやく異を唱える人が出てきたのは福音といえます。
個人然り、団体の一部然り。
ただしこれは論理的に、システマティックに解決できるものではなく、結局は人と、人を取り巻く環境次第という、なんとも弱っちいもので。
当事者以外の勇気ある人がダメだと言えたとしても、嫌がらせやリストラに追い込まれるリスクがある。
非常にむつかしい問題です。
オーナー企業で、そのオーナーが暴君である場合などは始末に負えない。
結局は団結して立ち向かうしかないんじゃないかな。
ここまで書いて気づいた。
団結こそ体育会系なるものじゃんか。
負の無限ループの絶望感よ。