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いいものを作る=すべて滅私で身を捧げることではない

自分はもはやヅカファンを名乗るのはおこがましいくらい覚めつつありますが(推しの星組ですら熱心に追っていないし)、端くれとしてひとこと。

演劇の上演時間は幕間(休憩)なし1幕ものでも2時間超えの作品もあり、宝塚歌劇の場合、約30分の幕間込みで約3時間。

宝塚に限らす、平日でも1日2公演が珍しくない演劇界は、公演が短期間とはいえハードスケジュールとなるのは否めません。

宝塚は2023年の宙組生徒さんの自殺を受け、5つの組からなる公演タームを見直しました。
公演期間以外は稽古や自主練からファンレター対応まで、タカラジェンヌはプライベートがないという話を聞くと、心意気やよしではある一方で、「何もそこまで」と制止したくなる心持ちです。

芸能とりわけ演劇は「役者をとことん追い込むことで演技力を引き出す」演出家の話は今なお珍しくありません。

演出家の言い分もわからないではないけど、今はもう時代が違います。「鬼の稽古」みたいな理屈は、マインドコントロールと紙一重。ワークショップと称して女優に性暴力を振るう演出家も、全能感がエスカレートした成れの果てです。

宝塚の場合は、稽古の厳しさがお家芸のように継がれていき、軍隊並みの上下関係の厳しさと相まって、それに耐えきれなくなった生徒の自殺という最悪の形で結実してしまった。

この例は極端にしても、こうした文化は劇団内だけの話ではなく、ファンの間にも存在しているのですよ。ファンクラブ会員内での暗黙のルールとか、スター退団の日には白装束で劇場に集うとか。

宝塚的軍隊マインドをよしとし、醸成してきた陰の功労者は他ならぬファンですよ。自分も含めて。自覚ないかもしれんけど。

耐えてこそナンボ、上が黒といえばそれが白でも黒と言わされる。理不尽に耐え抜く。そうした過酷な過程を卒業(退団)する日に、華やかなりし日々としてスターとともに回想する。
それですべてを水に流す。

ファンと演者の距離が近いゆえ、近視眼的になっているのか。でも近いからこそ、「それはおかしい」と耳の痛いことを言えてこそのファンではないか。
言えなくても、公演に足を運ばぬことで意思を表明する選択もあるでしょう。

変わらない側面があっても当然いい。だからといって、これが伝統と文化だからと居直り、変わることを頑なに拒んでいては、同様のことがまた起きますよ。

そしてこれは、宝塚歌劇など演劇・映画・ドラマの制作現場だけでなく、すべて仕事に相通ずることは言うまでもありません。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性