まさかのニュースに肩を落としました。
寄席紙切りのベテラン、林家正楽さんが亡くなったとの報せ。
「嘘だろ」と声を上げずにはいられませんでした。76歳は早すぎる。
正楽さん高座で客席の注文に応じて図柄をハサミで切り抜く「紙切り」芸の人です。
人物から縁起物、時事ネタまで客席からの声かけによるけさまざまな注文に応えます。
正楽さんは身体を揺らしながらハサミを紙に入れて行くのが特徴。
仕上がりをOHPで背景に映すとき、客席からの「おーーっ」というどよめきと拍手は、いつ聞いても良いものです。
あまり言う人いないけど、紙切りって落語よりもすごい芸なのではと。
わずかな時間でときには無理無体な注文にも応えなくてはいかんわけで、日々知識の吸収と勉強が必要。
何より手先を使った芸は誰もができるものではありません。
加えて正楽さんは、お人柄がとにかく優しい。
寄席の持ち時間が終わりに迫るなか、お子さんが客席から注文の声を張り上げたのをキャッチして、お囃子さんに
「あ、なんかもうひとつ切りたくなっちゃったから、お願い」と地囃子を頼み、子どものリクエストに応えていたのには心打たれました。
寄席に行くたびに見ていたけど、今年の鈴本初席、ぼくが行った日はたまたま出番がなく、弟子の楽一さんが代演を。
最後に正楽さんを見たのは、昨年10月の池袋上席でした。
あまりに突然で言葉もないが、あちらでも愉快に過ごしてほしい。