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五街道雲助さんの「鰍沢」。やっぱりシリアスな落語も好き。

五街道雲助さん「鰍澤」

鈴本演芸場2019年12月上席夜の部トリは五街道雲助さん。「不忍寄席師走賑~雲助冬の噺十夜~」と題された特別企画公演の2日目、12月2日(月)の回を見てきました。

2日目の演目「鰍沢」は、江戸から身延山にお詣りに行った旅人が遭遇する恐怖を描いた物語。三題噺(卵酒、鉄砲、毒消しの護符)で、作者は圓朝あるいは黙阿弥の2説がある、山梨県の身延山(久遠寺)は池上本門寺と並ぶ日蓮宗の大本山で……という話の振り出しから、辺り一面銀世界の山道に迷い遭難寸前の旅人の様子に、雲助さんはスーッと入っていきます。

寂れた一軒家に旅人を招き入れる元花魁。遭難の危機を脱し人心地ついた旅人と、元花魁との昔話のやり取りは悪夢の前哨。旅人が一晩の宿を提供してくれた花魁に、心づけを差し出したときから、徐々に様相はスリラーへと転じていきます。

雲助さんはその口調もさることながら、身振り手振りで極寒の気候が伝わってきます。道中、雪下ろしの三度笠を上げ下げする旅人。寒さのあまり背中を丸め、手を焚き火に当たる旅人や、帰宅した元花魁の亭主。後半、カネを奪おうとする元花魁の企みを知って裏口から逃げ出した旅人。後ろには鉄砲を持って「旅の方~ッ、忘れ物だよーーーっ!」と追ってくる元花魁、前には崖。万事休す、さぁどうする。ここからのドラマティックな展開、雲助さんのアクションと口演に引き込まれました。

寄席それも上野鈴本ばかりで落語を見ていると気づきませんが、この「鰍沢」を演じる噺家さんが少ないような気がします(そんな演目、他にも山ほどありますが)。特筆すべき大ネタは、それこそネタ出しの落語会でも行くしかないのかもしれません。

それにしても。この人という噺家によっては、笑いだけでなく「鰍沢」「柳田格之進」「死神」のような、シリアスな芝居を観たいとも思うんですよね。あくまで噺家=演じ手次第ですが(強調)。本性が暗いから、でしょうなぁ。

桃月庵こはく「代脈」、鏡味仙三郎 仙成、蜃気楼龍玉「垂乳根」、古今亭志ん輔「宮戸川」、ニックス、柳家さん喬「長短」、春風亭一之輔「のめる」
中入り
林家楽一、隅田川馬石「粗忽の釘」、アサダ二世、五街道雲助「鰍沢」

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hiroki「酒と共感の日々」

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