鈴本7月上席夜の部。天どんさん&その師匠圓丈さんの相席を見入る。

鈴本演芸場7月上席の夜の部、初日に行ってきました。三遊亭天どんさんがトリを務めます。初日7月1日のネタ帳はこちら。

柳亭市若「牛ほめ」
三遊亭わん丈「寄合酒」
マギー隆司 奇術
三遊亭彩大「修学旅行の夜」
柳家小里ん「長短」
柳家小菊 粋曲
三遊亭圓丈「新 寿限無」
桃月庵白酒「出来心」

お仲入り

すず風にゃん子・金魚 漫才
林家彦いち「掛け声指南」
林家楽一 紙切り
三遊亭天どん「船徳」

上野鈴本 2018年7月上席

わん丈さん、彩大さん、そして天どんさんと圓丈さんの弟子がズラリ。間に高座に上がった圓丈さん、なんと鈴本は「3年ぶり」とのこと。

圓丈さんといえば、その著作。プロの噺家が同業者を講評する『落語家の通信簿』(祥伝社新書)、1978年に起きた落語協会分裂騒動の深層を内側からえぐった問題作『師匠、御乱心!』(小学館文庫)など、衝撃的な本を書いています。その著者である圓丈さん、ご高齢(1944年生まれ)で高座は大変そうでしたが、生で見られて良かったです。

天どんさんは自分の師匠が先に高座に上がっていることに、ちょっぴり居心地が悪そう。ご高齢の師匠を心配し、「(番組が行われる)10日間、もつかなぁ」とマクラでぽつり。

自分が寄席のトリを務める初日は新作をやると決めていると言いつつ、今日は日和ります、と高座にかけたのは古典落語の「船徳」でした。

「船徳」は、遊びが過ぎて実家の大店を勘当された若旦那の徳さんが、腕っぷしが弱いのに船頭になると言い出し、舟を出して客を振り回す話。

が、そこは天どんさんだけに、オリジナル要素が多数。徳さんを自分大好きキャラにデフォルメして笑わせてくれました。

新作落語はもし受けなくても、その噺家本人の責に帰結するから問題はない。

ですが、古典落語をアレンジするとなると、そうはいかない。わん丈さんの「寄合酒」も、圓丈さんの「新 寿限無」もそうですが。物語の大枠を崩さず、中身を大胆に改変するのはある種の賭け。それをやってのける(つまり客を笑わせられる)新作落語の噺家に、相当な克己心を感じたひとときでした。

もちろん古典落語の噺家による、その人ならではのくすぐりもファンにはたまらないもの。あくまで定石にやるか、独自色を出すか。答えに正解がないことを考えるのは楽しいですね。

三遊亭天どん 鈴本演芸場